利用模索へ まず乗ろう 生出地区が路線バス体験会を自主企画 きょうから29日まで

▲ 路線バス体験会について話し合った昨年12月の支え合い会議

 陸前高田市矢作町の生出地区コミュニティ推進協議会(菅野賀一会長)は23日~29日(金)、地域の足を担う県交通路線バスの乗車体験会を開く。本年度、同地区で高齢者の移動手段に関する話し合いを重ねてきた中で、公共交通の重要性を確かめようと住民自ら企画。県内過疎地で利用減による路線バス廃止や減便の動きがみられる中、存続に向けた利用促進策を探っていく。

 実施日は25日(月)、28日(木)を除く計5日間で、参加者は延べ43人。矢作町的場発、米崎町のイオンスーパーセンター陸前高田店行きの「小黒山経由生出線」第2便(午前10時20分発、同11時33分着)に最寄り停留所などから乗る。
 往復運賃は1人当たり1020円で、同協議会が500円分補助する。参加者を対象に普段の移動手段やバスを利用する場合の目的などアンケート調査も行う。
 生出地区では平成29年度から、高齢者の暮らしに関する課題や地域の困り事を自分たちで解決しようと、同協議会役員らを中心とした地域支え合い会議を行っている。
 本年度は移動手段をテーマに据え、バス体験会は昨年12月にあった第2回会議で参加者が提案。地区全戸に参加申込書を発送するなど周知し、約1カ月の短期間で内容を固めた。これとは別に、市が同地区などの高齢者に交付する「ふるさとタクシー」助成事業の利用法を学ぶ勉強会も開催した。
 同市は高齢化が深刻で、運転免許を返納した高齢者らの生活の足確保が大きな課題となっている。横田町では市内に先駆け、住民らが乗り合い型車両(7人乗り)を運行する実証実験に取り組んでおり、来年度の本格導入を目指している。
 矢作町二又地区では、横田地区を参考にした新たな移動手段を検討中。米崎町上浜田地区でも乗り合い型車両の試験運行に独自に取り組んでいる。
 菅野会長(71)は「生出は人手が足りず、横田のような乗り合いバス運行は厳しい。そこで重要となるのが路線バス。将来を見据えて廃止とならないよう既存の公共交通の利用が進むような取り組みを考えていきたい」と展望する。