ハード完成に伴う再編も 地域公共交通会議 来年度運行方針案など承認 陸前高田市

 陸前高田市地域公共交通会議(会長・舟波昭一副市長、委員24人)は25日、高田町の市コミュニティホールで開かれ、令和3年度の公共交通運行方針案を承認した。復旧・復興事業として行われてきた市内幹線道路や公共施設整備の完了に伴い、5月をめどとして運行ルートなどを再編していくもので、市では今後、マップの配布などを通じて市民への周知を図っていく。
 同会議は、交通事業者と市内各種団体、市、有識者、国、県の出先機関等で構成。5カ年計画の「地域公共交通網形成計画」に基づき、公共交通の利便性改善にかかる対策などを検討している。
 この日は委員24人中23人が出席。戸羽太市長が委員代表の佐々木とも子市地域女性団体協議会副会長に委嘱状を手渡し、「公共交通のあり方は地方の共通課題。少しでもいい形になるよう、それぞれの立場から意見をいただきたい」とあいさつした。
 会長に舟波副市長、副会長に南正昭岩手大学理工学部教授を選んだあと、3年度の運行方針案について協議し、原案通り承認した。
 案は「公共施設の移転や道路供用開始に併せた道路の再編」「『幹』と『枝葉』の役割分担による運行の効率化」「地域の共助を生かした新たな交通手段の取り組みを支援」「道路運送法に基づく本格運行への切り替え」の4点を基本的な考え方として位置づけている。
 これに基づき、▽JR大船渡線BRT▽小黒山経由生出線(路線バス)▽福伏線(乗合タクシー)▽今泉線(同)▽高田竹駒循環線(同)▽高田米崎同(同)▽広田線(乗合マイクロバス)▽広田半島循環線(同)▽デマンド交通(気仙エリア、小友・広田エリア)──などの運行方針を掲げた。
 高田西幹線や高田米崎間道路、今泉大橋、市役所新庁舎など、ハードがすでに完成または3年度中の供用が見込まれる中、BRTを除いては5月1日をめどに、主に運行経路や停留所などの再編を進める計画。
 このうち、今泉線と高田竹駒循環線、高田米崎同については、たかたコミュニティバスの循環線として改め、5月1日から1日2回転または4回転で運行することとしている。
 これら運行形態の詳細やダイヤについては、今後、「公共交通マップ」を配布するなどして周知を図っていく。住民主体の取り組みも生まれてきた中、タクシー事業者の委員からは「タクシー助成券の利用も促してほしい」と訴える声も聞かれた。
 同日はこのほか、被災地特例の終了に伴う、市内交通事業者の一般乗合旅客自動車運送事業の緩和許可申請についても承認。昨夏実施した生活交通に関するアンケート調査結果、横田町で実証実験が行われている移動サービスの4月からの本格実施移行予定、昨年11月のグリーンスローモビリティ実証事業についての報告があった。
 委員次の通り。任期は2年。
 ▽会長=舟波昭一(副市長)▽副会長=南正昭(岩手大)
 ▽委員=山下剛毅(県交通)佐藤保(碁石観光企画)千葉邦弘(気仙タクシー)菅野真彦(高田タクシー)佐々木清隆(県交通運輸産業労組協)柴田博之(JR東日本盛岡支社)
 佐々木公一(市コミュニティ推進協連合会)伊東孝(陸前高田商工会)菅野利尚(市社会福祉協議会)佐々木とも子(市地域女性団体協)戸羽照夫(市老人クラブ連)蒲生哲(県PTA連気仙地区連絡協)
 金野靖彦(市観光物産協)小野寺実(岩手運輸支局)馬場真也(同)村上裕樹(大船渡警察署)今野善文(県大船渡地域振興セ)阿部千枝(三陸国道事務所大船渡維持出張所)西村貴之(県大船渡土木セ)齋藤晴美(市福祉部)阿部勝(市地域振興部)堺伸也(市建設部)