高田松原の砂浜 4月に一般開放 7月に待望の海開きも 県が再生工事でシャワー棟やトイレ整備中

▲ 4月から一般開放される予定の高田松原の砂浜

 東日本大震災で失われ、県が再生工事を進める陸前高田市の高田松原の砂浜延長1㌔は、4月から一般開放される。砂浜の幅を広めに確保した700㍍区間は海水浴場として利用でき、現在トイレ棟や温水シャワー棟の整備が進められている。7月には海開きを予定し、市民が愛した白砂青松の名勝が海水浴客でにぎわう景色がよみがえる。

 

 地域に親しまれた砂浜は約2㌔にわたって広がり、震災前年の平成22年は約17万人の海水浴客が訪れた。震災による地盤沈下と津波で約9割が失われ、約7万本あったとされる松林は「奇跡の一本松」を残して流失した。
 砂浜の自然再生には数百年を要すると推定されたため、県は事業総延長1750㍍のうち、1000㍍を人工的に整備すると決めた。有識者らでつくる高田地区海岸養浜技術検討委の協議を踏まえて養浜基本計画をまとめ、27年に延長200㍍の試験施工が行われた。
 試験施工区間における波打ち際の測量や底質調査を経て、29年に砂浜をさらに800㍍延ばす工事に着手し、31年3月に完成。厚さ1㍍、幅30~60㍍で、投入した砂は約15万立方㍍。津波による消失を免れた高田松原由来の700立方㍍も敷いた。
 海水浴場としての利用を想定するのは幅60㍍の延長700㍍。本年度は温水シャワー棟、トイレ棟、電光表示板・スピーカーなどを整備している。
 温水シャワー棟は砂浜東側に建てる。鉄筋コンクリート造、広さ33平方㍍で、シャワー室を8室配する。別の場所に冷水シャワー(屋外)も設ける。
 トイレ棟は計3カ所で、いずれも男女別と多目的トイレを整備する。スピーカーは高さ14㍍の計3基。このうち2基は約2・5㍍四方の電光表示板を備え、災害時の情報伝達などに活用する。
 高田松原では国、県、市が一体となり、津波犠牲者の鎮魂、教訓の伝承、にぎわい創出を担う津波復興祈念公園を整備中。一昨年9月には国営追悼・祈念施設の一部とともに、震災津波伝承館、道の駅「高田松原」がオープンし、今年は海水浴場の開設などでさらなる利用増が見込まれる。
 県沿岸広域振興局大船渡土木センター河川港湾課の大澤匡弘課長は「かつての高田松原のように県内外から観光客が訪れ、にぎわいが生まれるような場とするため、関係機関と協力しながら工事を進めていく」と力を込める。