陸こう全10基で導入完了 自動閉鎖システム 市管理の漁港海岸防潮堤

 東日本大震災で被災し、陸前高田市が復旧工事を進めている米崎町の脇之沢漁港海岸防潮堤(延長1860㍍)の陸こう2基に設けた自動閉鎖システムの運用が28日に始まった。これにより市管理分10基の同システム導入がすべて完了した。
 同漁協海岸の防潮堤は、高さが旧施設より6・2㍍高いT・P(東京湾平均海面)12・5㍍。数十年から百数十年に1度程度の頻度で発生する津波から後背地を守る。
 自動閉鎖システムの陸こうは1基が幅5㍍、もう1基が幅7㍍で、高さはともに4・7㍍。水門は6基のうちフラップゲート式の2基が完成した。
 同システムは、Jアラートで津波注意報・警報、大津波警報を受信すると、県庁と沿岸広域振興局に設置している「統制局」から自動閉鎖指令を出す仕組み。自動で閉鎖できなかった場合には、大船渡地区合同庁舎や各自治体、消防署などに設置した「制御所」からも遠隔操作で制御・監視できる。
 市管理の陸こうのうち、同システムを取り入れたのは要谷漁港海岸3基、只出、脇之沢漁港海岸の各2基、大陽、両替、根岬漁港海岸の各1基。昨年7月以降、順次導入された。
 脇之沢の防潮堤は現在も整備中だが、同システムを先行導入している。今月24、26日に試運転が行われ、漁業者や後背地の住民を対象にシステムの説明会も開いた。
 市水産課の石川浩課長補佐は「まだ防潮堤の本体工事が残っているため、できる限り早く完成するよう進めていく。自動閉鎖システム、防潮堤が整っても災害時は高台への避難が基本。そうした周知も行っていきたい」と話した。
 同システムを導入した市管理分の陸こうは別表の通り。