介護保険料 基準月額6000円に  現行より200円減 市が8期計画案(R3~5年度)まとめる

 陸前高田市は、令和3~5年度の3年間を計画期間とする市高齢者福祉計画・第8期介護保険事業計画の素案をまとめた。65歳以上の第1号被保険者が負担する介護保険料基準月額は、現行より200円減の6000円とする方向。減額は制度開始以来、初めて。増額を見込んでいた第7期(平成30年度~令和2年度)の介護給付総費用が当初見込みを下回ったことなどを踏まえ、引き下げても計画するサービスを提供できると試算した。地域密着型サービスの施設整備計画も盛り込んでいる。

 

 介護サービスは、要介護者が原則1割負担し、財源の割合は公費(国、県、市)と保険料で5割ずつとなっている。65歳以上の介護保険料は、各市町村が介護サービス給付総費用や高齢者数に基づいて3年ごとに決めている。
 介護・予防給付費や地域支援事業費を足した総事業費は、少子高齢化に伴うサービス利用者増などを背景に年々上昇傾向にある。
 第7期の平成30年度以降もこれまでの潮流を踏まえ、要介護認定者数増、給付費増を見込んでいたが、平成30年以降人数は減少に転じ、令和2年3月末時点で1391人(前年同期比38人減)となり、総事業費はほぼ横ばいで推移。剰余金を積み増している準備基金は、同月末時点で約4億8900万円となっている。
 計画案によると、第8期の総事業費は3年間で計79億4343万円と推定。保険料負担総額は15億9127万円で、高齢者の人数で除した年間基準額を7万2000円、月間基準額を6000円とした。保険料の負担割合は変わらず、世帯の住民税課税状況や所得ごとに保険料額を9段階に設定している。
 基準月額は第1期(平成12~14年度)の2600円で始まり、以後、改訂のたびに増額を繰り返してきた。市は今回の減額について「(第7期が)想定よりも要介護認定者が増えなかったためで、これまでの介護予防事業の一つの成果といえる」とする。
 計画案の基本理念は「住み慣れた地域で/自分らしく暮らし続けられる社会を目指す/ノーマライゼーションという言葉のいらないまち/陸前高田」。「SDGs未来都市」として誰一人取り残さない持続的な社会実現を目指す。
 基本目標は▽高齢者の健康寿命の延伸▽高齢者の生活支援の推進▽陸前高田市らしい地域包括ケアシステムの深化・推進▽地域ニーズに対応した介護保険事業の運営──の四つ。この目標を踏まえ、在宅医療・介護連携の推進、認知症施策の推進などに重点的に取り組んでいく。
 施設整備に関しては、現行の西部(矢作町、横田町、竹駒町)、中央(気仙町、高田町)、東部(米崎町、小友町、広田町)の3圏域を基本に、圏域ごとに偏在するニーズを補完し合い、市全体のサービス底上げを図っていく考え。第8期では、初年度(令和3年度)中に新たに小規模多機能型居宅介護施設(登録定員29人まで)1施設の整備を掲げている。
 市は、今月中旬に予定する同計画運営協議会で第8期素案について協議する。市議会3月定例会に保険料変更に伴う条例改正案を提出する。
 段階別の保険料は別掲の通り。