三陸沿岸道路・仙台─田野畑間が一本に、3月6日気仙沼市内開通、気仙の観光振興や物流促進にも期待集まる

▲ 気仙沼湾横断橋を含む7・3㌔区間の供用が3月6日に始まる(三陸新報社提供)

 国が整備している三陸沿岸道路のうち、宮城県気仙沼市の気仙沼港インターチェンジ(IC)─唐桑半島IC間の延長7・3㌔が、3月6日(土)午後3時30分に開通する。東日本大震災発生から10年を前に、復興道路と位置づけられる「命の道」が、仙台市から田野畑村まで一本につながることとなり、気仙の観光振興や物流促進、利便性向上にも期待が集まる。

 

 新たに開通するのは気仙沼道路(延長9・0㌔)の一部。上下1車線ずつで、「気仙沼湾横断橋」(延長1344㍍)など五つの橋と三つのトンネルが整備された。同道路南端1・7㌔区間は昨年2月に開通した。
 3月に開通する区間の浦島大島IC、気仙沼鹿折ICはいずれもハーフ式で、浦島大島ICは仙台方面、気仙沼鹿折ICは岩手方面のみ乗り降り可能。気仙沼道路の総事業費は1365億円となっている。
 同道路を通行する所要時間は7分で、国道45号経由よりも9分短縮される。仙台─宮古間は5時間28分から3時間29分に短縮される。
 開通式は3月6日午前11時から現地で行われる。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、一般の参加を受け付けず、関係者のみで実施する。
 三陸沿岸道は、宮城県仙台市から青森県八戸市までの三陸沿岸を結ぶ全長359㌔で、東日本大震災からの復興に向けたリーディングプロジェクトとして整備が進められている。未開通区間は田野畑以北の合計47㌔で、年内の全通を目指している。
 また、「復興支援道路」として釜石市と花巻市を結ぶ東北横断自動車道釜石秋田線「釜石花巻道路」(延長約80㌔)も全通。広大な面積を誇る本県沿岸の縦軸、内陸につながる横軸の〝大動脈〟が形成され、気仙でも観光客の増加や物流機能、水産加工品の生産効率の向上など効果を発揮している。
 国交省東北地方整備局仙台河川国道事務所の外崎高広副所長は「震災からの復興に寄与する道路として整備を進め、年度内の開通となった。多くの人に安全・安心な道路を利用してほしい」と話した。
 気仙からも喜びの声が寄せられている。陸前高田市の戸羽太市長は「国道45号とのダブルネットワークによる災害に強い安全なルートが確保され、仙台市から岩手県沿岸まで直結することで、震災の記憶と教訓の伝承、企業の誘致促進や地場産品の販路拡大、観光交流の促進など、三陸沿岸地域全体に新たな希望や未来が描ける」とのコメントを出した。