市内の観光客数45%減、昨年1~12月実績、コロナで宿泊にも大打撃

 大船渡市は4日までに、昨年1~12月における市内観光客数・宿泊数をまとめた。観光客数の年間総計は43万328人で、前年比45・5%減。宿泊数も13万1480人で同じく38%下回り、いずれも新型コロナウイルスの影響が大打撃を与えた。例年、観光客が伸びる4~8月の落ち込みが大きかった一方、市が宿泊支援策などを行った9~11月は健闘ぶりが目立ち、経済対策の一定成果もうかがえる。今年に入っても新型ウイルスの影響が続く中、回復に向けた官民一体となった取り組みの行方が注目される。

 

経済支援策に一定成果も

 

 昨年の観光客数は、2月は前年実績を上回ったが、3月から新型ウイルスの影響が出始め、4月には国の緊急事態宣言発令や外出自粛の呼びかけなどを受け、大きく落ち込んだ。
 観光シーズン幕開けとなる4月は2万1376人で、前年同月比64%減。ゴールデンウイークを含む5月は、前年は10万7225人に達していたが、83・4%減の1万7815人にとどまった。
 宣言解除後に観光施設等が再開して徐々に増加したが、三陸・大船渡夏まつりをはじめイベントの中止が重なり、例年、最多の観光客数となる8月は4万7231人と前年同期の31%までしか伸びず、閑散とした状況となった。
 9月~11月は、4万人前後で推移。例年、閑散期である11月は前年同期比11・5%減と、新型ウイルスの影響が出始めて以降では落ち込みの幅が最も小さく、平成30年の実績とほぼ同数となった。
 宿泊数も、3月ごろから減少幅が拡大。令和元年の4~8月は2万人前後で推移していたが、昨年4月は9393人で前年同月比54%減、5月は5827人と同70%減に。6月は1万1542人と伸びたが、前年同期比では49・3%減となった。
 7月から国の「GoToトラベル」キャンペーンや、県による「地元に泊まるなら県民割」の宿泊助成制度開始を受け、回復傾向をみせたが、夏場は依然として前年同月比40~50%減が続いた。
 9月からは市による独自宿泊観光回復事業「大船渡に泊まってHappy!大作戦」が本格化。市民を除く県民利用は1人1泊当たりの宿泊料金のうち、最大4000円分を補助し、1000円分のクーポン券を配布。市民が利用する場合は、宿泊料金分として最大5000円分を助成した。
 実際に宿泊が始まった9月1日時点での予約は1600件だったが、10月中旬には利用と予約合計が7800件を突破。11月上旬には、9000件を超えた。
 これに伴い、9~11月の宿泊者数は、前年同月の7~9割に回復。県内宿泊客を対象とした事業効果が出た形となった。
 また、令和2年の外国人観光客数は96人。元年実績は1322人で、92・7%の減少となった。感染拡大に伴う海外から日本への入国制限の影響が顕著に表れた。
 市内の観光客数は、東日本大震災発生前の入込数は微減が続き、震災翌年の24年から3年間は被災地支援などによって一時的に増加。その後は減少傾向が続いたが、令和元年に初めて回復した。
 宿泊客数は平成24年は復興関連工事従事者らの増加により、震災前年実績の2倍以上に伸びた。27年には震災前の実績と同水準となり、30年は10万人台となったものの、令和元年は再び20万人台に回復した。
 今月2日には10都府県を対象とした緊急事態宣言が来月7日まで延長され、「GoToトラベル」の再開見通しが立ちにくいなど、依然として新型ウイルスの影響が続く。一方、市内各施設では感染予防策を徹底した形での営業が確立しつつある。
 市内の異業種間連携や、近場の観光資源を楽しむ「マイクロツーリズム」の関心も高まる中、今後は官民一体となった形で新機軸を織り交ぜながら回復基調を生み出せるかが今後の焦点となる。
 観光客・宿泊者数の推移は別掲。