震災伝承施設 陸前高田の12件も追加 「3・11希望の灯り」など ネットワーク 協議会が登録
令和3年2月6日付 7面
国交省東北地方整備局や岩手県などでつくる震災伝承ネットワーク協議会は、東日本大震災の教訓を後世に伝える「震災伝承施設」に、陸前高田市小友町の「3・11希望の灯り」など市内12件を含む31件を追加登録した。これにより登録件数は気仙両市で43件、全体(青森、岩手、宮城、福島各県)では271件となった。
教訓の発信目的、東北4県で271件に
同協議会は平成30年7月に設立し、東北地方整備局、岩手、宮城、福島、青森各県、仙台市で構成する。震災の事実や記憶、教訓を伝承しようと、震災伝承施設の登録制度を創設し、施設を結ぶ「3・11伝承ロード」形成や周遊促進による地域活性化を図っている。
施設は①震災伝承②訪問しやすさ③理解しやすさ――の三つの特性で審査・登録し、すべてを満たす施設は第3分類、①、②を備えている施設は第2分類、①のみは第1分類に位置付ける。第3分類の施設は案内標識に登録施設を示す標章(マーク)を活用できる。
気仙から今回追加登録されたのは、陸前高田市の施設のみ。第2分類に、小友町の気仙大工左官伝承館内のガス灯モニュメント「3・11希望の灯り」が加わった。
モニュメントは、阪神・淡路大震災で被災した兵庫県神戸市にある「1・17希望の灯り」から分灯されたもの。東日本大震災発生から9カ月の平成23年12月に設置され、来館者が犠牲者追悼の祈りをささげている。
第1分類には広田町、小友町に建立された石碑11基が選ばれた。いずれも明治29年の三陸大津波後に建てられた犠牲者追悼や津波到達地点を伝える碑で、同市の有形文化財に指定されている。
今回分を含め、登録施設は大船渡市19件、陸前高田市24件。岩手県としては計105件となった。
陸前高田市建設部の堺伸也部長は「震災の教訓を後世に伝えるとともに全国に発信するのは大切なこと。今回新たに登録されたことで、関心も高まってほしい。災害に強いまちづくりを展開する市としても引き続き防災への取り組みを進めていく」と話した。