屋根常設で装い新たに 海上七夕船「大船渡丸」 〝みなとの顔〟広がる活用
令和3年2月7日付 8面
大船渡商工会議所(米谷春夫会頭)が所有する海上七夕船「大船渡丸」の、ステージ屋根常設化をはじめとした改修事業が終了した。大船渡市大船渡町の茶屋前埠頭(ふとう)では、装い新たな船体が三陸・大船渡夏まつりをはじめ各種イベントでの活躍を待ち続ける。港湾部の復興事業も終盤に入る中、関係者は〝みなとの顔〟としての活用に期待を膨らませる。
改修工事は昨年9月下旬から本格化。事業費は約4000万円で、鉄骨の柱を組んだ上にパイプトラス方式でアーチ状の屋根を架け、電気設備工事も行った。
「大船渡丸」は全長38㍍、幅10・5㍍、高さ26・4㍍。青森県内にあった砂利運搬船を市からの補助2000万円を得て購入し、七夕船として改造した。平成19年の三陸・大船渡夏まつりで、イルミネーションによる装飾が初披露された。
23年の東日本大震災も乗り越え、翌年以降のまつりでは、湾内巡航や歌謡ステージに活用されてきた。一方、高さ約5㍍の部分に屋根をかける作業を毎年行うなど、高齢化が進む中でボランティアの安全確保が課題に。電源・電灯の常設化も求められていた。
こうした状況を受け、同船の電飾などを担ってきた大船渡・海を愛する会(齊藤俊明会長)が要望活動を展開。本年度、日本財団や市からの助成が決まった。
改修により、イベント活用時の準備負担が軽減。船底部分への浸水防止など、機材維持や船全体の長寿命化にもつながる。
今後は夏まつりはもちろん、客船入港歓迎行事、港湾を核としたにぎわいを図る「みなとオアシスおおふなと」関連のイベントでの利活用など、活用機会の可能性が広がる。関係者らは、子どもたちが海を身近に感じることができるような活用のあり方も探る。
齊藤会長は「見た目、構造ともに素晴らしい屋根が完成した。今年の夏まつりでは、立派にしたイルミネーションも披露したい。新型コロナウイルスの影響で沈滞ムードが広がっている中、元気になるような取り組みも必要であり、『まつりをやるんだ』という思いを持ち続けていきたい」と話している。