洞内に〝星空〟出現 滝観洞内部でプラネタリウム実証試験

▲ 洞窟内に星空を投影。およそ100万個の星がきらめく

 住田町の住田観光開発㈱(松田栄代表取締役)が運営する滝観洞観光センターと有志が6日夕、上有住にある滝観洞の内部でプラネタリウムの「実証試験」を行った。地域が誇る観光資源の滝観洞にさらなるにぎわいを──と企画したもので、洞内空間に星空を投影。今後、七夕時期のイベント開催を目指し、検討を重ねていく。
 滝観洞は全長3635㍍、高低差115㍍にも及び、国内屈指の鍾乳洞として知られる。観光洞部にはライトアップされた鍾乳石が輝き、岩肌や地下水などによる神秘的な光景や、洞内滝としては国内屈指を誇る最奥部の「天の岩戸の滝」も人気を集めている。
 プラネタリウムの企画提案者は、平成30年から昨年2月まで、上有住地区の地域おこし協力隊を務めていた金野正史さん(34)=大船渡市赤崎町。
 協力隊時代にも町内でトレイルランニングイベントや自然の中での体験学習などを企画していた金野さん。鹿児島県の種子島で巨大な洞窟の内部を会場にプラネタリウムが行われていることを知り、滝観洞に目を付けた。
 滝観洞の上にはJR釜石線が通っており、同線の前身である「岩手軽便鉄道」は、宮沢賢治の代表作『銀河鉄道の夜』の舞台になったともいわれていることから、そこにプラネタリウムとのつながりやストーリー性も感じたという。
 試験に当たっては、JR釜石線を走るSL銀河にも搭載されている光学式プラネタリウムと同様の機材をレンタル。この機材は、1900年1月1日午前0時から2099年12月31日午後11時59分までの間で任意の年月日、時間を指定して星空を投影できるもの。
 この日は住田観光開発の千葉孝文取締役(42)と金野さんが洞内に入り、入り口から約50㍍地点にある広々とした空間で試験を実施。高い所で天井まで7~8㍍あるこの場所に星空を投影。照明を消すと、およそ100万個の星がきらめき、空間を夜空のように彩った。段になっている岩肌によって立体感も生まれ、まるで屋外で星を眺めているかのような光景を演出した。
 千葉取締役は「今後、夏とか七夕の時期に合わせて、夜の滝観洞でイベントを開催できれば。自然を生かした企画を集客につなげ、お客さまが飽きることのない洞窟にしていきたい」と、金野さんは「滝観洞にはいろんな活用の仕方や楽しみ方がまだあるんだと感じた。たき火のLEDや寝転んで見られるような場所をつくれば、楽しみ方も広がりそう」と話していた。
 2人は今後、イベント開催実現に向けて検討を重ねていく。