ワクチン接種へ対応確認 市が円滑化目的にシミュレーション実施(別写真あり)

▲ 模擬接種を受ける対象者役の高齢者

 陸前高田市は19日、高田町の市保健福祉総合センターで、4月以降開始する高齢者向けの新型コロナウイルスワクチン集団接種のシミュレーションを初めて行った。円滑な集団接種に向けた参考としようと、全体の流れや接種にかかる所要時間、体制整備など実践しながら課題を探った。

 

4月以降の高齢者向け見据え


 シミュレーションは、市職員や看護師ら13人が医師役1人、看護師役6人を含むスタッフを担い、接種対象者役として市内老人クラブの会員23人が参加。入り口と出口を1カ所ずつ設け、廊下を一方通行にして実施した。
 接種対象者役は入り口で消毒、体温測定したあと、スタッフと予診票を確認。医師の問診後、靴を脱いで接種会場に入り模擬接種を受けた。副反応の有無など状態観察のためしばらく待機した。
 対象者は一連の流れを2回体験。入場から接種終了までの一人当たりの所要時間は9分10秒~16分50秒で、延べ45人分に要する時間は、想定よりも短い約40分だった。
 高田町の菅野安さん(72)は「大勢の人が訪れた時にどう接種できるか、今回のシミュレーションではまだ見えない。スムーズ化が図れるようお願いしたい」と話し、同町の小野寺栄子さん(75)は「予想以上にスムーズだった。気仙でも感染が拡大し、以前より緊張感がある。一日も早く接種できればいい」と期待した。
 終了後、関係者による意見交換も。「車いすの人が接種することを想定すると対応側の人数が少し心配」「接種後、具合が悪くなった人の休憩場所は状態観察の部屋と分けた方がいいのでは」などという声が聞かれ、密集しやすいポイントも確認した。
 市は県立高田病院の隣にある保健福祉総合センターを、集団接種会場に想定しており、診断は同院の医師1、2人が担う予定。
 市に配備されるワクチン保管用の超低温冷凍庫2台のうち1台は3月中に届く。集団接種や個人病院での個別接種を受ける65歳以上の市内高齢者は、約6900人を見込んでいる。
 高田病院の田畑潔院長は「事前にシミュレーションを行うことはとても大事で、実施して分かった課題もあった。安心してもらうための体制を考えていく」と先を見据えた。
 市福祉部の齋藤晴美部長は「高田病院や老人クラブなどのご協力でシミュレーションを実施でき、感謝している。円滑に接種できるよう準備を進めるとともに、国から見通しが示され次第、正確な情報を市民にお知らせする」と語った。