「空家等対策計画」を策定 3年度から対策推進へ 初の協議会を開催

▲ 委員に委嘱状が交付された

 令和2年度住田町空家等対策協議会は19日、役場町民ホールで開かれた。同協議会は、高齢化に伴う空き家の増加、台風など自然災害による放置空き家の被害が懸念される中、それら諸課題に対処しようと設立したもので、今回が初の会議となった。この日は「町空家等対策計画案」について協議し、原案通り承認。来年度から、計画に基づいて各種空き家対策を進めていくことを確認した。
 平成27年に国の「空家等対策の推進に関する特別措置法」が完全施行となり、町ではこれを受けて県の研修会参加、先進地の視察を行った。令和元年度の町議会12月定例会で、倒壊の恐れなどがある空き家に最小限の措置ができる「即時執行」などを盛り込んだ空き家等の適正管理に関する条例を制定。条例制定を受けて、協議会の設立を進めてきた。
 協議会委員は、学識経験者や消防、警察、商工会、議員など9人で構成。この日は委員、事務局合わせて約10人が出席した。
 協議会でははじめに、協議会長の神田謙一町長が委員に委嘱状を交付。引き続き、事務局が空家等対策計画案について説明。
 この計画は町の空き家対策の基礎となるもので、計画期間は令和3年4月から13年3月までの10年間。対象地区は町内全域だが、住宅の密集率が高く隣接の住居などに重大な影響を及ぼす恐れのある世田米の世田米駅、大崎地域周辺、上有住の八日町の空き家については優先的に対策を進める必要があることから重点対象地区とする。
 町が平成27年度に行った空き家調査によると、町内の住宅2076戸のうち、空き家数は41戸だが、今後、高齢者世帯の異動により件数は増加が見込まれる。居住者の死亡や転居によって取り壊されたケースもあるが、対策をしなければ今後も放置される建物が増えていくことも予想される。
 計画の施策体系は▽所有者等による空家等の適切な管理の促進▽空家等の有効活用への誘導▽特定空家に対する措置──で構成。
 具体的な取り組みとして、「所有者等による空家等の適切な管理の促進」では、町民に対して広報やホームページなどを活用して適正管理を呼びかけるほか、所有者らには適正な管理への理解を促し、相談を受けた際には管理方法について情報を提供していく。
 「空家等の有効活用」においては、空家バンク事業の紹介などを図り、地域資源としての活用を進める。
 「特定空家等に対する措置」では、特定空き家等の所有者らと十分に対話して助言・指導への対応や所有者の状況を確認しながら、空家等特別措置法に基づき勧告・命令を行うとともに、代執行については近隣に与える悪影響や危険の度合い、緊急性などを総合的に検討して実施について判断していくことなどを盛り込んでいる。
 今後、3年度には世田米の住宅密集地、4年度は八日町の空き家状況の再調査を行って状況を整理し、5年度以降はそれら以外の地区の再調査、空き家所有者や町民への情報提供、意識付けも行っていく。
 委員次の通り。カッコ内は所属。任期は2年。
 ▽神田謙一(住田町長)佐々木信一(町議会議員)畠山明夫(県土地家屋調査士会)山口孝幸(県建築士会気仙支部)村上成樹(大船渡地区消防組合)阿部諒大(大船渡警察署)千田明夫(住田町商工会)高橋靖(町自治公民館連絡協議会)菅野孝男(町社会福祉協議会)