つないで、希望の火 3月に「つむぐ」イルミネーション行事 子どもらも一緒に準備進める(別写真あり)

▲ 覚張穂香さん㊨ら実行委の子どもたちも成長し、作業を手伝う立派な戦力に(電子新聞に別写真あり)

 陸前高田市出身の有志らを中心に構成される「つむぐ」実行委員会(松村幸祈委員長)は3月6日(土)、7日(日)、11日(木)の3日間、高田町のまちなか広場で東日本大震災の犠牲者追悼と地域の復興を願うイルミネーション行事を催す。通算8回目となり、この間に実行委メンバーの子どもたちも成長。亡き友への思いを込めて毎年準備する大人たちの傍らにいた子らは、今や貴重な戦力としてともに光をつむごうとしている。

 

6、7、11日の3日間

 

 実行委メンバーの覚張あゆみさん(35)=米崎町=が、「上の娘はもうなんでも作れる。即戦力です」という長女の穂香さんは小学5年生。ロウを火にかけて溶かし、エッセンシャルオイルで香りを、クレヨンで色をつけ、型に流し込む作業も一人でスムーズに行える。
 メンバーらは、週末ごとに竹駒町の菊池畳店に集まり、LEDライトを施した看板や、フィンランドに伝わるオーナメント「ヒンメリ」、お世話になった人たちに贈る感謝のキャンドルなどを制作。子ども連れで参加する仲間も少なくない。
 覚張さんもその一人。震災当時はまだおなかの中にいた次女・成海さんは、現在小学3年生。「高田に輝(ひかり)を」としてイルミネーション行事が始まった時に生まれた三女・咲月さんは、1年生になった。大人たちがすることをずっとそばで見ていた3姉妹は、「楽しいから来ている」と遊び感覚だが、制作面でも力になっている。
 「高田に輝を」は、震災で亡くなった高田町の菊池勇輝さん(当時25)の名から1字とり、同級生有志らと菊池さんの家族が平成26年から30年まで同町で開催した光のセレモニー。31年からは、中心市街地を彩る光によって、人と人との関係や大震災を経験した地域への思いをつむぎ直していこうと、「つむぐ」と名称を変えて開催している。
 数年前からは市内にある2中学校も協力し、地元の生徒たちが当日使用するキャンドルホルダーを作るなど、震災の記憶が薄い若い世代に当時のことや命について考えてもらうきっかけにもなっている。
 また、同市の復興工事に携わってきたUR都市機構も、今年初めてランタンを作って参加する。過去7回の開催で震災の〝当事者〟以外にも輪が広がってきた中、実行委は「『何かしたいけれど、何をしたらいいのか』という人たちの思いを受け取って活動していけたら」と、開催の意義を語る。
 覚張さんは「震災を忘れないで、というのとも少し違うかもしれない。何を考えるかは人それぞれで、こちらが強制することではないと思う。その場に来てくれた人、一人一人が〝何か〟を感じてくれれば」といい、当日は空きビンなどを持参して一緒にキャンドルをともしてほしいと呼びかける。
 行事は3日間とも午後5時から8時までで、光と反射のアートを作り出す「ミラーボーラー」によるモニュメントや、医療従事者への感謝を示すブルーのライトなども設置予定。
 実行委は、「感染症対策のためのマスク着用や手指消毒の徹底にも協力してほしい」としている。