困難にくじけず道開く 気仙4高校で卒業式 学びに自信と誇り持ち(別写真あり)

▲ 3年間育てたツバキの苗木を手に笑顔を見せる大船渡東高農芸科学科の卒業生ら

 気仙の県立高校4校(大船渡、大船渡東、高田、住田)の卒業式は1日、一斉に行われ、計428人の卒業生が3年間の学びに自信と誇りを持ち、次のステージへ羽ばたいた。東日本大震災から10年となるのを前に、新型コロナウイルスの影響も続く状況下での旅立ちを迎え、将来のどんな困難にもくじけず、未来に向かってそれぞれの道を切り開いていく決意を胸に刻んだ。

 

新たな時代の創造者に 大船渡東

 

 県立大船渡東高校(鈴木博校長、生徒320人)では、鈴木校長が卒業生127人(農芸科学科27人、機械科21人、電気電子科9人、情報処理科39人、食物文化科31人)一人一人にステージ上で卒業証書を手渡した。
 鈴木校長は式辞で「誇りを胸に、自信を持って次のステージへと歩んでください。先行きの見えない状況を打ち破るために、校訓である『礼節』『敬愛』『創造』の精神を忘れず、選んだ道で自らの可能性に挑戦してください」と述べた。
 東日本大震災発生から10年を控え、未曽有の危機を乗り越えて復興へ歩んできた地域の姿や、現下のコロナ禍の状況にも触れたうえで、「前向きに考え、困難な時代を力強く生き抜くとともに、新たな時代を創造する原動力になってほしい」と背中を押した。
 機械科の藤井天翔君が卒業生を代表して答辞。最後の1年は「新型ウイルスの感染が拡大し、高校総体をはじめ多くの大会が中止となるなど、さまざまな影響があった。自分たちにできることは何かを考え、精いっぱい取り組んだ」と振り返った。
 自身の機械科での実習や試験合格のエピソードを交え「高校生活で得た数々の経験と誇りを胸に、自信を持って社会に踏み出していきたい。どんなにつらく、厳しい道を歩むことになっても、積み上げてきた努力を胸に明るい未来に向かって進んでいく」と誓った。
 新型ウイルス対策として、在校生は出席せず、校歌も演奏のみで実施。「技術(わざ)を整え 旅立つ日には 世に尽くさんと 誓いを立てよう」との歌詞をかみしめた。
 吹奏楽部の演奏で退場し、目を潤ませる卒業生も。校舎前では卒業生を待ち、花や贈り物を渡して門出を祝う在校生の姿もあった。入学時に全員で挿し木し、農芸科学科が育ててきたツバキの苗木を自宅に持ち帰り、家族にプレゼントした。

 

手拍子で祝福する保護者らの間を通り退場する卒業生ら

地元への思い持ち続けて 高田

 

 県立高田高校(村上弘校長、生徒365人)の本年度卒業生は117人(普通科108人、海洋システム科9人)。式典は新型ウイルス感染症予防のため出席者を制限し、代表の在校生1人と来賓3人、教職員と保護者らが卒業生の門出を祝福した。
 卒業証書授与では、卒業生呼名のあと、各科の代表生徒が村上校長から証書を受け取った。
 村上校長は、同校創立90周年を迎えた本年度の卒業生らの活躍を振り返りつつ、「復興する地元に対して思いを持つ〝思民〟であり続けてほしい。きょうがあるのは、みなさんの努力はもちろん、保護者からの深い愛情や、地域の方々の温かい理解と支援のたまものであることを忘れないでほしい」と式辞を述べた。
 次いで、来賓の戸羽太市長が「みなさんは震災やコロナで我慢を重ねてきたと思うが、これまで苦労をした分、これからはすばらしい人生が待っている。自分を大切にし、自分を磨きながらがんばっていってほしい」と祝辞。蒲生哲PTA会長と伊藤清子同窓会長も卒業生らの明るい未来に期待した。
 送辞では、在校生代表の及川正嗣生徒会長(2年)が「学校生活を本気で楽しむ先輩方の姿は私たちの憧れだった。先輩方の誠実さや優しさを後輩に引き継いでいく。困難もあると思いますが、高校での3年間の努力がみなさんの背を押してくれるように」と激励。
 答辞を述べた卒業生代表の千葉快成前生徒会長(3年)は、コロナ禍の中で支えてくれた家族や地域、先生、学校の仲間への感謝を述べたうえ、「この校舎を忘れず、新しいステージでも努力し続ける」と決意を語った。
 退場時には、保護者や教職らが手拍子をたたいて卒業生を見送った。卒業生らは、3年間の成長を示すようなりりしい表情で祝福に応え、式場を後にした。