追加経済支援策に意欲 新型ウイルス対策で当局 一般質問に5議員登壇 市議会
令和3年3月4日付 1面

大船渡市議会3月定例会は3日、通告に基づく一般質問が行われ、光政会の佐藤優子、渡辺徹、菅原実、伊藤力也の各議員と、新政同友会の東堅市議員が登壇した。新型コロナウイルス対策について当局は、経済的に深刻な影響を受ける事業者向けをはじめ、さらなる支援策に意欲を示した。一般質問は4日も行われる。
LINEの活用にも言及
新型ウイルス関連で質問したのは佐藤、渡辺両議員。渡辺議員は、苦境が続く飲食店事業者に対する認識を問いながら「自助だけでは限界がある」と支援策を迫った。
市は現在、感染拡大防止特別期間を定め、市民に対策徹底を呼びかけている。佐々木義久災害復興局長(新型コロナウイルス感染症対策室長)は「『飲食店に行ってはだめ』とは言っていない。パーティションの設置やこまめな換気といったきちんとした対策をとり、会話をする際のマスク着用などを、市民や事業所にお願いしている」と説明。
経済支援策については、本年度補正予算で2回目となる1世帯1万円分の振興券配布を行う計画。近江学商工港湾部長は「売り上げが減少している全事業所に行き渡る保証はなく、緊急的な補助金といった対策は必要になってくると考える」と述べたほか、戸田公明市長は「振興券を一つの皮切りにして、2弾目、3弾目をやらなければならない」と力を込めた。
関連質問で森亨議員が発言し、感染防止策について「これまで、市として確信、自信を持った予防策はあったか」と追及。佐々木局長は「マスクの着用や手指消毒といった自己防衛が最も大事。市内の感染者も、7〜8割が無症状か軽症。体調にかかわらず、一人一人が気をつけることが重要な感染防止策」と答えた。
佐藤議員は情報発信を巡り「SNS(会員制交流サイト)の『LINE(ライン)』などで確実に、しっかりと受け止めたいという市民が非常に多い」と指摘。早期導入を迫った。
武田英和企画政策部長は、SNSの中でも利用者が多く、ひと目で情報確認ができるといった利点を挙げながら「ワクチン住民接種に向け、デジタル化の推進や接種率向上の観点から、情報伝達や接種予約システムのツールとして、活用を検討している。自治体向け公式アカウントを取得するなど、導入を前提とした事務を進めている」と語った。
吉浜地区での太陽光発電事業計画を取り上げたのは、菅原議員。当初は吉浜地区の荒金山と大窪山(一部市有地を含む)に太陽光発電所2カ所を整備する計画だったが、事業者は太陽光パネルは大窪山のみに設置する変更案をまとめ、昨年12月に経済産業省に認定申請を行った。菅原議員は、環境面への不安などに言及しながら、今後の動きについて説明を求めた。
武田企画政策部長は「変更認定の可否についての審査結果が示される時期や、県による関係法令の適用確認など見通しが難しい」と答弁。整備スケジュールなどに関する言及は避けた。
伊藤議員は本年度で期限切れとなる過疎地域自立促進特別措置法(過疎法)に代わる「新過疎法」について質問。同市が指定される見込みを挙げ、過疎対策事業債活用の方向性などをただした。
佐藤雅俊財政課長は「これまでは、財政面で有利な合併特例債があったが令和3年度で終了し、復興交付金も本年度で終わる。過疎対策事業債は、市として財源的に大きなメリットがある。策定予定である市町村計画などを通じて、何に充当すれば効果があるのかを見定めながら、事業を選択し、各種計画も見直していきたい」と答えた。
東議員は、本年度策定予定で、来年度から5年間を期間とする市水産業振興計画を巡り、当局と論戦。案に盛り込まれている「漁業資源確保の取組の推進」を取り上げた中で、定置網では漁獲量制限などでマグロの大半を放している現状を挙げながら、「沿岸漁民には不利になる」と指摘し、当局の見解をただした。
鈴木満広農林水産部長は「計画案をまとめる中で、漁業者や漁協からは、資源が枯渇してしまわないよう『総論としては賛成』としつつも、特に定置網では選択的な漁獲が難しく『現場では課題がある』との意見が出た」と説明。一方、全漁連をはじめ業界団体による資源管理の方針に触れながら、将来的に持続可能な漁業経営の安定化につながる資源管理の必要性を挙げ、理解を求めた。