カタログ販売 一定成果 町内11事業者の商品掲載 町商工会が作成し全国配布

▲ 町商工会が作成・配布したカタログ

 住田町商工会(千田明夫会長)が昨年作成した、町内の食品加工業者らの商品を掲載したカタログ「住田のうんみゃ〜もん」を通じたアンケート結果がまとまった。カタログは全国の道の駅や、県内外のアンテナショップなどに配布。カタログでの商品購入者からは味や価格などには高い評価が寄せられた一方、全国的にみると商品購入動向や価値観が異なることから、商工会では今回のアンケート結果を今後の販路開拓の参考にしながら、町内事業者を支援していく。

 新型コロナウイルスの影響によって各地の物産展が中止となり、町内の製造業者も特産品をPRする機会が減少している。町では、飲食店など幅広い事業者を支援するためにプレミアム率100%のチケットを発行し、地域内の経済循環を図っているが、地域外を商圏にしている事業者はその恩恵を受けにくい。
 こうした中、町商工会は「今後も事業を続けていくためには、大都市圏での販路開拓もしていく必要がある」として、売り上げの補塡(ほてん)に加えて販路開拓、新たな事業展開につなげてもらおうと昨年、カタログを作成した。
 掲載されているのは町内11事業者の商品。ありすポークや住田鶏ハラミらーめん、手作りの梅干し、菓子類、農産物などを掲載しており、商品の製造過程も紹介することで、作り手の〝顔〟が見えるよう工夫している。
 配布先は、特産品の購入機会が多い道の駅のほか、岩手県産㈱=矢巾町=が運営する各地のアンテナショップ、気仙地区内観光施設など計1218カ所。
 掲載事業者の昨年11月から今年1月の取り寄せ注文件数は、カタログからの注文を合わせると464件(前年同期比31%増)、売上金額が約161万円(同47%増)と大幅に増加しており、カタログ配布により一定の効果が出たとみられる。このうち4事業者は初の取り寄せ注文への対応だったものの、カタログでの販売をきっかけとして新たな販売手法の確立にもつながった。
 カタログの有効期限は今年12月1日(水)までだが、カタログ配布後、同1月20日までの期間でアンケートも実施し、46件の回答が寄せられた。
 全国各地から回答が寄せられた中、岩手県が16件、宮城県が6件の計22件と半数を占めており、同町出身者や関係者による購入も多い。今後はターゲットの明確化を図りつつ、東北地方を皮切りに段階的に販路拡大に取り組んでいく考え。
 アンケートによると、特産品購入者は特にも「産地」「安心・安全性」「独自性」を重要視していることなど、今後の各事業者の商品開発、改良においての参考となる結果もあった。
 新型ウイルスの感染拡大の影響によって消費者の行動や生活様式も様変わりし、在宅で取り寄せが可能となるEC市場も伸長している。掲載事業者の中にはカタログ作成事業を通じて自社ホームページを見直したり、新規に開設する動きもあった。感染収束後も継続して需要が見込まれる販売ツールの導入、各事業者の売り上げ回復により町内経済活性化にも期待がかかる。
 町商工会の今野雄介経営指導員は「今回の結果を踏まえて、来年度以降も取り組みを続けていければ」と話している。