東日本大震災10年/まち照らす 追悼と感謝の光 市街地で11日も点灯 「つむぐ」イルミネーション(別写真あり)

▲ 幻想的な空間を生む光のモニュメント

各地から寄せられたキャンドルホルダーを眺める松村実行委員長㊧と菊池さん

 陸前高田市高田町のまちなか広場で6、7の両日、「つむぐ」と題したイルミネーションの催しが行われた。実行委員会(松村幸祈委員長)が美しい輝きを放つモニュメントやキャンドルなどを設置。東日本大震災の犠牲

者への追悼や、多方面からの支援への感謝、明るい未来への思いのこもった光が、中心市街地に集まった来場者らの笑顔を照らした。イルミネーションの点灯は11日(木)にも行われる。

 「つむぐ」は、同市で平成26年から5年間開かれた催し「高田に輝(ひかり)を」が前身。震災で亡くなった同町の菊池勇輝さん(当時25)の友人らが集まり、津波で失われたまちを照らし、鎮魂の祈りと支援への感謝を示そうと始まった。
 平成31年からは、震災と人、地域とのつながりを見つめ直し、それぞれの思いをつむいでいこうと名称を変更。陸前高田ふるさと復興応援隊(現ふるさとこころの復興応援隊)と合同の催しを企画した昨年は、新型コロナウイルスの感染予防でやむなく中止となったが、菊池さんの父・純一さん(63)が経営する竹駒町の菊池畳店にイルミネーションを設置した。
 今年も新型ウイルスの影響が尾を引いていたが、「昨年まちなかでできなかった分の光をともしたい」「コロナ禍で大変な今だからこそやる意味もある」とメンバーらが実施を決意。出入り口の開設や受付での検温、来場者カードの記入など対策を徹底し、当日を迎えた。
 会場には、地元内外から寄せられたキャンドルホルダーを並べて作った「つむぐ」という文字や、光と反射の空間作品を生み出すアート集団「ミラーボーラー」による象徴的なモニュメント、美しい模様が浮かび上がる紙や竹の灯ろうなどが置かれた。会場を囲うように設置した青と緑の電飾には、医療従事者や事業者らへのエールがこめられた。
 6、7日両日とも夕方から夜にかけて厳しい冷え込みとなったが、幅広い世代の地域住民らが来場。地元中学生やボランティアが文字や絵を添えたキャンドルホルダーを一つ一つ眺めたり、モニュメントのミラーボールから放たれる幻想的な光のアートに見入ったりと、思い思いの時間を過ごした。
 イルミネーションの設置に携わった純一さんは「10年前、このまちは真っ暗だった。今ではこんなにもたくさんの明かりがともり、子どもたちの笑顔を見ることができる。地元の住民の手によって生まれたこの催しがこれからも継続され、人の縁をつむいでいってほしい」と祈った。
 催しは、11日の午後5時~8時にも同じ場所で行われる。
 松村実行委員長(35)は「毎年このイルミネーションを楽しみにしてくださる人たちに背中を押され、続けられてきた催し。いろいろな人たちに来てもらえていることが素直にうれしい。震災から10年となる11日も、来場者の方々が光を見て、それぞれの思いにひたってほしい」と話していた。