母校の歴史と誇り胸に 来年度統合する綾里中と赤崎中 閉校前最後の卒業式(別写真あり)

▲ 誇りを胸に『友〜旅立ちの時〜』を合唱する綾里中の卒業生

東朋中用に合同で記念品

 

 本年度で閉校し、来年度、新生「東朋中」として新設統合する大船渡市の綾里中(村上亮校長、生徒42人)と赤崎中(菅生裕之校長、生徒58人)で13日、卒業式が行われた。歴史ある両校の最後の卒業生らは、先輩たちから受け継いだ伝統と誇りを胸に、輝かしい未来へ飛び立った。また、卒業記念品として、東朋中で使用する横断幕とのぼり旗を合同で贈り、新設校へのエールを込めた。

 

綾中魂で困難を乗り越える/綾里

 

 綾里中の卒業生13人は、丁寧な礼やきびきびとした歩きの威厳ある姿で式に臨んだ。呼名に元気よく返事し、村上校長から卒業証書を受け取った。
 村上校長は「新型コロナウイルスとの闘いの一年となり、活動が制約や変更を余儀なくされる中、困難に向き合い、乗り越えることに誇りを持って明るさや楽しさ、優しさを仲間と共有しようとする姿は生きる力そのものだった。74年の輝かしい綾里中の最後を飾るにふさわしい13名に感謝と激励の思いを伝えたい」と式辞を述べた。
 佐藤凜さん(2年)は送辞で「先輩方から受け継いだ綾里中の伝統、綾中魂を引き継ぎ、新しい学校でも躍進することができるよう、精いっぱい努力していく」と誓った。
 卒業生を代表し、坂本晃太郎君は「私たちはそれぞれの夢に向かって歩いていく。険しく、高い壁が待ち受けているかもしれない。そんな時は綾里中で学んだことや仲間との思い出、綾中魂を思い出し、くじけることなく、一歩一歩歩んでいく」と答辞を述べた。
 在校生は『桜色』、卒業生は『友〜旅立ちの時〜』を合唱。『いのちの歌』は全校で声を合わせ、目を潤ませた。
 式後は教室で卒業生が一人ずつ、保護者や先生方に感謝の言葉を述べた。在校生のアーチで見送り後、エール交換で締めくくった。
 74年で閉校する同校の卒業生は計4890人。式の最後に力強い校歌が歴代卒業生が親しんだ学びやに響き渡った。〝ともづな解け船出せよ しぶきあげて〟

 

未来への決意を込めて/赤崎

卒業生たちが菅生校長から卒業証書を受け取った=赤崎中

 

 赤崎中の卒業生は、男子10人、女子7人の計17人。国歌斉唱のあと、菅生校長が卒業証書を授与。修学旅行でボルダリングを体験した卒業生たちの姿を人生と重ね、「これから歩んでいく人生の中で、難易度の違う障害と出会うと思う。その時に、『希望』や負けずに立ち向かう気持ち、乗り越える努力が必要となる。復興、未来を担う世代として、震災やコロナの経験を糧とし、夢を追いかけ逆境に負けずに力強く歩んでほしい。何事にも熱心に取り組んできた卒業生をたたえたい」とあいさつした。
 送辞では、生徒会長の佐藤千秋君(2年)が「どんなときでも1、2年生を優しく引っ張ってくれ、復興に貢献する中学生としての自主的な姿勢など、先輩方から多くのことを学んだ。心に焼き付いている先輩方の姿を忘れず、前進していきたい」と決意を述べながら、「どんなことにも挑戦し、自分の道を歩んで。別れは寂しいけど、みなさんを応援している」と激励した。
 卒業生代表の志田隆祥君は3年間の思い出を振り返りながら、コロナ禍でいくつもの困難があったことにも触れ、「中学校での経験や身につけた知識、学んだ思いやりを生かし、自分の力で歩いていきたい。これからも応援よろしくお願いします」と述べ、先生らへの感謝も伝えた。
 卒業生たちは、『あなたへ―旅立ちに寄せるメッセージ』を合唱して心を合わせ、最後に校歌を斉唱。昭和22年度の創立から本年度までの74年間で6221人の生徒が巣立った同校への感謝と、これから歩んでいく未来への決意を込めて、堂々と歌声を重ねた。