養殖ワカメの初入札 震災後最多の181㌧上場 大船渡で(別写真あり)
令和3年3月17日付 1面

今季の第1回県下合同養殖ワカメ入札会は16日、大船渡市大船渡町の県漁連南部支所で開かれた。塩蔵ワカメの上場数は181㌧で、初回としては東日本大震災以降で最多。協議を除く気仙管内の芯抜き1等の最高値は、広田湾漁協(広田・北浜、南浜)の1万2506円(10㌔)で、昨年の最高値を17%下回った。新型コロナウイルスの影響で業務系の引き合いが弱いという。今後の海況や生育具合だけでなく、新型ウイルスの影響収束状況にも注目が集まる。
気仙の最高値は1万2506円(10㌔)
前年を17%下回る
コロナの収束状況注視も
この日は、県内外から買い付け業者34社が来場。ファクス入札の1社を含め35社が入札会に参加した。
塩蔵ワカメは広田湾、大船渡市、綾里、唐丹町、釜石湾、釜石東部、新おおつち、三陸やまだ、重茂の各漁協から上場。昨年の上場数は21㌧で、今年は約9倍に達するなど、量の多さが際立った。
入札会場では、県漁連の佐々木高常務理事が「震災から10年を迎え、これから本格的な復興を遂げる年だが、新型コロナウイルスの影響が及んでいる。平成28年以降、安定した価格が続いていたが昨年は減少に転じ、せっかく高まった生産意欲の低下も懸念される。一日も早い収束が一番」とあいさつ。
そのうえで「初回としては、震災後最も多い量となった。1万5000㌧の計画量と、さらなる品質向上を目指す。5月最後の入札まで、ご理解、ご協力をお願いしたい」とも述べた。
ワカメは等級や地区ごとに分けられ、同支所の倉庫内には見本品がズラリと並んだ。入札参加業者らはワカメを手に取り、真剣な目つきで品質などをチェック。順路を定めるなど、新型ウイルス感染防止策も徹底した。
浜によってばらつきはあるものの、今年はしけによる影響が小さく「芽落ち」と呼ばれる生育不良も少ないという。国内の加工、販売、流通業者らで構成する三陸ワカメ買受人会の会長を務めている㈲リアス海藻店=釜石市=の平野嘉隆代表取締役(49)は「品質は例年以上。今後に向けて品質、数量とも期待できるのでは」と話していた。
気仙管内の芯抜き1等の10㌔価格は、「協議」を除くと、広田湾の広田・南浜と同・北浜が1万2506円で最高値に。大船渡市の赤崎が1万2480円、広田湾の小友・浦浜が1万1400円、同・只出が1万1389円、綾里の前浜と野白浜が1万1599円となった。県下での最高値は、唐丹町の1万2599円。
昨シーズンは、一昨年の高値の反動に加え、新型ウイルスに伴い外出自粛となっている影響で飲食店などでの消費の冷え込みが、価格に反映されたとみられる。昨年から今年にかけ、物販の売り上げは伸びている半面、依然として業務筋の荷動きが鈍いという。
入札会に参加した関係者からは「価格が上昇する5~6年前の水準や、震災前の価格帯に戻ってきているともいえる。新型ウイルスの影響が続いている中、今回は価格が保たれているともとらえられるのでは」との声も聞かれた。
今後の入札会は、北部支所(宮古市)、南部支所に分かれて実施。同支所分の次回入札は26日(金)。5月8日(土)には同支所で県下合同の最終入札会が行われる。