マイヤに「フードポスト」 気仙の各店に設置 NPO法人・JTとの連携で
令和3年3月19日付 1面


マイヤ赤崎店ではサービスカウンター前に設置
大船渡市に本社を置き、スーパーマーケットを展開する㈱マイヤ(井原良幸代表取締役社長)は18日、気仙両市に構える5店舗に「フードポスト」を設置した。NPO法人・フードバンク岩手(伊勢昭一理事長)、日本たばこ産業㈱北上支店(栗原隆行支店長、JT)と連携し、家庭で使用されずにいる食料を受け入れ、支援が必要な県内の家庭に配る取り組み。関係者は地域住民への理解促進や、困窮に苦しむ家庭支援の広がりに期待を込める。
プロジェクト開始に合わせた調印式は同日、大船渡町のおおふなぽーとで開かれ、井原社長と栗原支店長、フードバンク岩手の阿部知幸副理事長が出席。協定締結書に署名を行った。
井原社長は「関心があり、志があるお客さまが、気軽に参加いただけるのではと思い、この活動に手を上げた」とあいさつ。
阿部副理事長は「(持続可能な開発目標の)SDGsでいうパートナーシップでの目標達成にもつながり、新しい取り組みが始まっていくことをアピールしたい」、栗原支店長は「一緒に地域貢献できることを誇りに思う。責任を持って、丁寧に、スピーディーに届けるよう活動する」とそれぞれ述べた。
終了後、井原社長らはマイヤ赤崎店にフードポストを設置。買い物客らにチラシも配り、協力を呼びかけた。
今回3社で進める「フードドライブ」活動は、家庭で使用されずにいたり、消費しきれない食材を持ち寄り、必要としている世帯などに配る取り組み。近年は、食べられる状態でも廃棄するフードロス問題の解決や、格差是正の面からも注目されている。
同日から市内の同店と大船渡インター店、大船渡店、陸前高田市内の高田店、アップルロード店でポストの運用を開始。各店舗からフードバンク岩手までの搬送業務はJTが行い、ひとり親家庭や高齢者をはじめ支援が必要な県内家庭への食品提供はフードバンク岩手が担う。各企業・団体が負担を軽減し合い、継続的な取り組みを見据える。
フードバンク岩手はこれまで、行政や社会福祉協議会を通じて、児童養護施設や食料を必要とする家庭に届けてきた。緊急支援要請は令和元年度は877件だったが、新型コロナウイルスの影響などで増え続け、本年度はすでに1000件を突破した。
特に、夏休みや冬休み期間に、子どもがいる家庭からの連絡が多かった。1件あたりで必要とする食料の量も増え、フードポストだけでの提供では足りず、確保に要する費用も本年度は140万円程度に上るという。
これまで、沿岸部のスーパーマーケットでの設置は進んでいなかった。マイヤ各店からの回収は、月1回程度となる見込み。フードバンク岩手では食料の確保にとどまらず、ポストの設置によって支援を必要としている人々が支援制度を知り、活用する流れにも期待を込める。