永遠に伝える綾中魂 綾里中閉校記念誌を発刊 「讃歌」復刻、収録CDも
令和3年3月20日付 6面

本年度で閉校する大船渡市立綾里中学校の閉校事業実行委員会(熊谷優志委員長)は、閉校記念誌『綾中魂』を発刊した。平成9年度に発行した創立50周年記念誌を引き継ぐ形で同年度以降の歴代卒業生の写真や寄稿を収め、母校愛あふれる一冊として完成。綾里地区の全戸に配布する。
記念誌はA4判、フルカラー54㌻。題字は本年度の在校生から案を募り、「綾中魂」に決定。東日本大震災からの地域復興に向けた合言葉となってきた。
題字は5歳から書道を習う同校の岩渕眞歩さん(1年)が納得いくまで書き直し、堂々と表紙を飾った。サブタイトルの「〜友との絆、新たなる船出〜」は3年の花輪日茉里さん(3年)、「〜いつまでも心の中に〜」は仮谷実笑さん(2年)が考案。表と裏にそれぞれ印字されている。
「平成9年度からの歩み」の章は、同年度以降の卒業生と職員の集合写真、名簿を掲載。「綾里中学校の思い出」の章は、歴代生徒会長6人の寄稿文を本年度の各学年代表3人と合わせてつづった。部活動をテーマに、各部の卒業生9人が仲間との絆や、恩師への感謝の言葉をしたためた寄稿もある。年月が流れても、色あせることのない母校での思い出がよみがえる内容だ。
同校は来年度、赤崎中と新設統合し、東朋中が誕生。赤崎中の校舎と校歌、綾里中の校章が引き継がれる。
記念誌と合わせ、全校生徒で歌った校歌と、かつて歌われていた『綾中讃歌』を収録したCDも配布する。
綾中讃歌は昭和40年に誕生。元教諭の東幹雄さんによると、当時、「みんなで歌える歌がほしい」と生徒の要望を受け、国語担当の宮杜惇教諭が作詞、音楽担当の高梨文雄教諭が作曲を手がけたという逸話もCD作りの過程で明らかになった。
同50年に綾里出身でNHK東京放送合唱団の指揮者だった中島司さんの作詞・作曲で校歌ができ、近年、讃歌は歌われる機会が少なくなっていたが、今回、元教諭の矢吹隆志さんの協力で譜面を復刻。矢吹さんの音楽仲間に歌ってもらい、音源の保存が実現した。
現在の校舎や旧校舎の写真とともに校歌、第一、第二応援歌、綾中讃歌の歌詞を刻んだクリアファイルも制作。記念誌、CDと3点セットで配布する。
同実行委事務局長の高橋昭英副校長は「在校生のアイデアも生かした一冊。記念誌編集を通じて卒業生の綾中への思いを感じた。閉校後もCDで校歌、讃歌を聴いたり、歌ったりして親しんでほしい」と思いを込める。
岩渕さんは「74年分の生徒の思いが詰まっている。統合後も次の世代に綾里中の歴史を伝えていきたい。今後は赤崎中と仲良くなり、両方の地域でつながり合いたい」と前向きに新年度を待つ。
綾里中の閉校式は21日(日)に行われる。記念誌、CD、クリアファイルの問い合わせは、本年度末までは高橋副校長(℡42・2300)、来年度は東朋中へ。