船体塗装作業 今月終了へ 木造千石船の復元船「気仙丸」 移設は5月中をめどに(別写真あり)
令和3年3月21日付 1面
大船渡商工会議所(米谷春夫会頭)が所有する、木造千石船の復元船「気仙丸」の陸上展示に向けた船体への液体ガラス塗装作業が、今月中に終了する見通しとなった。今後は、県外で塗装を行っていた板材や銅板の取り付けに入り、4月中には終えたい考え。展示場所は大船渡町・大船渡駅周辺地区内で調整しており、移設作業は5月をめどとしている。中心市街地の活性化の面からも注目され、配置のあり方などへの関心が高まっている。
大船渡駅周辺で展示予定
戸田公明市長をはじめ、市や同商議所の関係者が18日、作業が行われている大船渡市赤崎町の㈲大船渡ドック(中野利弘代表取締役)を視察。中野代表取締役(73)や、改修工事に参加した気仙船匠会副会長の菅野孝男さん(77)から説明を受けた。
現在は船体の塗装作業がほぼ終了し、細部の隙間部分を残す状態。船体とほぼ同じ長さの帆柱や、5㍍超のかじ棒も間近で目にし、精巧さを後世に伝え残す意義を確認し合った。一方、強度を確保できず、船体から垂直に帆柱を立てての展示は難しいという。
菅野さんは「よく、ここまで来たなという思い。最初は腐食状況が分からず、参加したわれわれも高齢化しており、どこまでできるか不安だった。関係者が心を一つにして、がんばってきた」と語った。
今後は、帆柱やかじ棒の塗装に加え、県外で塗装作業を行っていた板類の取り付けを控える。銅板も設置し、4月末には大船渡ドックから移設できる状態になる見込み。
中野代表取締役は「細かいところは残っているが、めどはついた。船匠会の大工さんが、本当によく動いてくれたおかげ。だいぶ、見栄えはよくなった。あとは運ぶ段取りになる」と話していた。
展示場所は、大船渡駅周辺地区の⑦街区(かもめテラス向かい)で調整を進めている。大船渡ドックから大船渡町側には台船で運び、岸壁からはトラックでの陸送を計画。展示場所でも〝台座〟となる部分の工事が必要で、現段階では展示場所への移設作業は5月中をめどとしている。
船体だけでなく、帆柱やかじ棒の展示方法にも注目が集まる。江戸時代の海運の歴史を伝える説明に加え、にぎわい創出に向けた駅周辺地区全体としての活性化策も求められる。
「気仙丸」は、江戸時代に気仙と江戸、九州地方の交易に活躍したとされる千石船の歴史を伝える復元船。長さは18㍍、幅5・75㍍、高さ5㍍。帆柱の高さは17㍍。
気仙船匠会のメンバーらの手で建造が進められ、平成3年に完成。翌4年には「三陸・海の博覧会」に協賛出品し、高い評価を受けたほか、NHK大河ドラマ『龍馬伝』をはじめドラマや映画の撮影にも使われ、多方面で活躍を続けた。
長年、赤崎町の蛸ノ浦漁港で係留され、10年前の東日本大震災時は奇跡的に流失、大規模損壊を免れた。一方、近年は老朽化などで腐食の進行が著しく、抜本的な修理の必要性に迫られていた。
海上活用は断念し、長寿命化を施したうえでの陸上展示が決定。事業財源は市が確保し、昨年の市議会6月定例会で、事業費7000万円を盛り込んだ補正予算案が可決された。
同8月、蛸ノ浦漁港から大船渡ドックにえい航。安定させるおもりとして積んでいた「バラスト」の取り出し後、水洗いを行い、船体全体の塗装をはがす作業を重ねた。
気仙船匠会のメンバー4人は、傷みが進んだ部分を新調するなど、熟練の技を発揮。船体の左右にあり、垣根のように施された「垣立」や、その間に設ける「菱井桁」などを再現した。






