気仙両市で変動率下落 住宅、商業地とも上昇なく 令和3年の地価公示
令和3年3月24日付 1面
土地の取引価格の指標となる令和3年地価公示が発表された。宅地、商業地などを合わせた全用途の地価変動率は、東日本大震災からの復興事業の進ちょくに伴う移転需要の落ち着きと、人口減少などの影響による土地需要の低迷が反映され、大船渡市がマイナス0・2%(前年マイナス0・5%)、陸前高田市はマイナス0・8%(同0・0%)といずれも下落した。
地価公示は、土地取引や公共事業用地の取得価格を算定する際などの指標となるもの。適正な地価形成のため、国土交通省土地鑑定委員会が毎年1月1日時点で全国の標準地を調べ、都道府県を通じ発表している。
気仙で調査対象となった標準地は、大船渡市が住宅地3地点、商業地2地点、陸前高田市が住宅地3地点、商業地1地点の計9地点。
住宅地の平均価格(1平方㍍当たり、以下同)と前年からの平均変動率は、大船渡市が3万2400円、マイナス0・1%(前年マイナス0・3%)で下落が続く。陸前高田市は2万円、マイナス0・8%(同0・0%)で、横ばいから下落となった。
大船渡市は、商業地の「赤崎町字沢田104番15外」が3万2300円、マイナス0・6%(同マイナス0・6%)で前年に続く下落。同じく商業地で、選定替えで今回から設定された「大船渡町字野々田156番11外」は5万3500円となった。
住宅地の「立根町字中野25番2内」は3万2700円、マイナス0・3%(同マイナス0・9%)で2年連続の下落。「大船渡町字明神前11番14」は4万100円、「大船渡町下平19番6」は2万4300円と、いずれも前年から変動がなかった。
陸前高田市に新設された商業地「高田町字馬場前114番外4筆」は3万6100円。住宅地「高田町字中田77番4」は1万4500円、マイナス1・4%(同0・0%)、「高田町字鳴石51番96」は2万3000円、マイナス0・9%(同0・0%)といずれも横ばいから下落に転じた。「高田町字西和野134番6外」は2万2400円で変動なしだった。
県内の地価動向をみると、住宅地(127地点)の平均変動率はマイナス0・4%(同マイナス0・1%)と、20年連続の下落。価格が上昇したのは25地点、下落は55地点、横ばいは47地点だった。
矢巾町で大学付属病院や関連施設の移転に伴う住宅需要に対する供給が限定的となって価格が上昇した一方、下落した地点では人口減少による需要の低迷などが生じた。新型コロナウイルス感染症拡大に伴う、直接的な影響はみられなかった。
1平方㍍当たりの最高価格地点は前年と同じ「盛岡市加賀野1丁目42番4」(1平方㍍当たり8万4800円)で、前年からの変動はなかった。
沿岸部の平均変動率はマイナス1・3%(同マイナス0・9%)と5年連続の下落。震災発生から10年、住まいの再建など復興事業の進ちょくに伴う移転需要の落ち着きと、少子高齢化や人口減少などの影響による土地需要の低迷が反映された結果となった。
県内における商業地(54地点)の平均変動率はマイナス1・7%(同マイナス0・7%)となり、28年連続で下落した。価格が上昇したのは1地点のみとなり、下落は36地点、横ばいは12地点。
住宅地と同様に矢巾町で大学付属病院の移転が契機となる価格上昇があったが、盛岡市の中心商店街・盛岡駅周辺の商業地域・路線商業地域で新型ウイルスの影響がみられた。沿岸部はマイナス1・3%(同マイナス0・9%)で、7年連続のマイナスだった。
県内工業地(4地点)の平均変動率は0・7%(同1・9%)と、4年連続で上昇。2地点で上昇、2地点が横ばいだった。
気仙の公示地価は別表の通り。