たかたのゆめ過去最多280㌧ 反収伸び前年比20㌧増 2年産収量
令和3年3月24日付 1面
陸前高田市の地域ブランド米「たかたのゆめ」の令和2年産米収量は、前年比20㌧増の280㌧と過去最多となった。作付面積が1㌶拡大し、反収(10㌃当たりの収量)も伸びた。新年度から市内小中学校の給食を全量たかたのゆめに切り替えるほか、オンライン販売にも力を入れ、ブランド化推進を図っていく。
新年度から学校給食で使用
市によると、2年は42農家(法人含む)が生産に当たり、前年比5農家減。一方、面積は62・9㌶、反収は445㌔で前年よりも19㌔増となった。生産者らでつくる「たかたのゆめ」ブランド化研究会(佐藤信一会長)が当初掲げた収量は266㌧で、計画を上回った。
JAおおふなとによると、気仙では夏の高温でカメムシの水稲被害がみられたものの、たかたのゆめの収穫は例年同様9、10月に行われ、「比較的順調だった」(市担当者)という。一部の自家消費米を除いた全量がJAに集荷され、120㌧が全農いわてに、それ以外が自主流通米として出荷された。
収量増の要因として市は、点在して設けている実証水田での検証が進み、蓄積されてきた栽培ノウハウを生産者間で共有できていることを挙げる。東日本大震災で被災した復旧水田の堆肥散布を重ね、地力も少しずつ回復しているという。
新年度からは地産地消、認知度向上を目指し、これまで月1回ペースだった学校給食での使用を全量に切り替える。給食は小中学校10校合わせて1000人分程度で、数量は年間10~13㌧を見込む。
さらに、販路開拓に向け、JA全農の通販サイト「JAタウン」への出品も検討していく。震災後、陸前高田に思いを寄せる全国のファンへのPRに力を入れる。
たかたのゆめは、静岡県磐田市にある日本たばこ産業(JT)植物イノベーションセンターに保存されていた種もみ「いわた13号」から誕生。「ひとめぼれ」と「いわた3号」をかけ合わせた東北向け品種で、同社が種もみを陸前高田市に無償提供し、平成25年から生産が始まった。
年間収量は26年以降、28年(197㌧)を除いて200㌧台で推移し、将来的には作付面積70㌶、年間収量300㌧を目標に掲げる。
市農林課の大和田智広課長補佐は「栽培に関してはおおむね成功した年といえる。生産者の収入増に向け、生産拡大、販売促進の両輪で取り組んでいかなければいけない。オンライン販売などで全国にいるファンに届けられるようにしていきたい」と意気込む。
年別の作付面積、収量は別掲の通り。