新型コロナウイルス/消費喚起推進へ〝工夫〟期待も 「ふるさと振興券」今回も全世帯に1万円分 9日から簡易書留郵送
令和3年4月3日付 1面
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う大船渡市の独自経済対策で、市内全世帯に簡易書留郵便で1万円分を配る「ふるさと振興券」事業が、9日(金)から始まる。地域消費喚起促進を狙った昨年秋に続く第2弾の取り組みで、加盟店数は400店を超えた。事業委託を受ける大船渡商工会議所では「振興券を生かした活性化策も企画してほしい」と、各店舗などでの〝工夫〟に期待を込める。
400店超で利用可能
事業開始に先立ち、同商議所は2日、加盟店向けの説明会を開催。午前と午後の部合わせて約60人が訪れた。
午前の部では、齊藤光夫専務理事が昨年秋の第1弾時には事業所関係者らから広く好評を集めた実績などを振り返ったうえで「せっかくの事業なので、自分の店に来ていただけるような工夫をしてもらえればありがたい」と述べた。
引き続き、事務局が振興券発行事業を説明。参加した事業所関係者は、会計時に消費者から受け取った後の対応や金融機関などでの手続きを確認したほか、商品券の見本や加盟店を示すステッカー、加盟店一覧表にも目を通した。
ふるさと振興券事業は、昨年9月に続く実施。新型ウイルスの影響で苦しむ飲食店や小売業、サービス業の売り上げ確保に向けた消費喚起を目的としている。
振興券の配布対象者は、市内全世帯で約1万5000世帯。2月1日現在で住民登録がある世帯主あてに送付し、外国人を含む。各世帯には、商品券500円券の20枚つづりが届く。
同商議所では今月5(月)、6(火)の両日、封詰め作業を行い、簡易書留郵便による手渡し配布は9日から今月下旬までを見込む。店舗での利用期間は同日から7月末まで。
振興券を利用できる加盟店は、飲食店や小売店、サービス業の424店舗で、前回よりも約40店舗増加。飲食店や理・美容業、コンビニエンスストアなどで、参加の動きが広がったという。
一方で、今回も、スーパーやドラッグストア、ホームセンターなど、店舗面積が500平方㍍を超える大型店は対象外。簡易書留郵送では商品券とともに、取り扱い加盟店の一覧も同封する。
加盟店による換金期限は8月末で、この間は随時金融機関で対応。商議所が発行している地域商品券は換金時に3%の手数料を徴収するが、振興券は無料となっている。
同商議所によると、各店舗が消費者から振興券を預かり、金融機関で換金した額は2月12日時点で1億4407万3000円。換金率は97・9%に達した。加盟事業所のうち、85%で消費者による購買、サービスによる利用があった。
換金で多かったのは、家族らで足を運びやすい飲食店。来店客の声などを受け、振興券利用店舗に加盟した動きも見られた。小規模の専門店が集積するショッピングセンターや商店街からも「売り上げの上乗せ効果が出ている」といった声が聞かれた。
今回も、市や商議所では「影響の早期収束と持続可能な地域づくりに向け、地元のお店を知ってもらうきっかけにもなれば」とし、地域経済を後押しする観点での利用を期待。各店舗や商店街での振興券配布に合わせたキャンペーンなどを通じ、早期回復に向けた消費循環形成も見据える。