生活の足確保へ出発進行 横田地区で乗り合い車両本格始動 町民主体で週に1度無料運行(別写真あり)

▲ 移動手段のない高齢者を地域で支えようと、乗り合い車両の本格運行を開始

 陸前高田市の横田町交通研究会(村上豊繁代表)は6日、高齢者らの新たな移動手段として、予約式の乗り合い車両「らいじん号」の本格運行を開始した。市が同町を地域の交通課題を解決するモデル地区と位置づけ、昨年2月から今年3月末まで実証実験に取り組んできたが、本格運行に合わせ、同研究会が運営主体となる。これまで同様、町民自ら運転手となり、週に1度無料で運行し、持続的な「生活の足」確保を目指す。

 

愛称の「らいじん号」考案者の太田君に感謝状を贈呈

実証実験経てスタート

 

 6日は、同町の横田地区コミュニティセンターで本格運行にかかる出発式があり、町民や市関係者ら約20人が参加。戸羽太市長は「横田地区が先陣を切って公共交通の課題解決に取り組んできたことは、陸前高田市にとっても大きな一歩だ。行政もサポートしていきたい」と喜んだ。
 研究会は、愛称の「らいじん号」を考案した地元の太田迅君(高田第一中1年)に感謝状を贈呈。横田のシンボルで、横田小、旧横田中校歌の歌詞にもある「雷神山」にちなんだもので、太田君は「地域の人たちが笑顔で乗ってほしい」と期待を込めた。
 このあと、本格運行の第1便が出発。同日は5人が利用し、米崎町のスーパーなどで買い物した。
 実証実験時から利用している金野まつ子さん(89)と菅野ミナ子さん(88)は「前は家にいるしかなかったけれど、こうして外に出られるようになって気晴らしができる。続けてもらってありがたい」「まちに出てきて復興の様子を見たり、(移動中に)みんなの話っこを聞くのが楽しい」とそれぞれ地域のサポートに感謝した。
 市は、横田地区の支え合いの力を生かした新たな移動手段を確保しようと、令和元年8月、同地区コミュニティ推進協議会役員、行政区長、民生・児童委員らによる検討を開始。昨年2月から実証実験に乗り出し、課題を探ってきた。
 利用者は町内の高齢者ら約40人で、運転手は12人。運行日は変わらず毎週火曜日で、同市のレンタカー会社から借りている7人乗り、または5人乗り車両(運転手含む)を使う。年間経費は約70万円を見込み、市が市内全11地区に交付している地域交付金を活用する。
 本年度から行き先には中心市街地のほか、県立高田病院、イオンスーパーセンター陸前高田店などを加え、横田─米崎間を1往復する。将来的には有償で運送する「自家用有償旅客運送」制度への移行を視野に入れている。
 村上代表(50)は「実証実験で利用者から便利だという声もあり、重要性を実感できた。横田の課題を自分たちで解決するため支え合いの輪を少しずつ広げていきたい」と意気込む。
 利用の予約は原則2日前まで。予約用携帯電話の電話番号は実証実験時と変わって、080・2845・5239となる。