74年分の卒業記念写真ずらり 今春閉校した綾里中 綾姫ホール廊下に展示(別写真あり)

▲ 綾里中学校の歴代生徒の卒業記念写真

 赤崎中学校との新設統合に伴い、3月末で閉校した大船渡市の綾里中学校。その74年間の歴代生徒の卒業記念写真が三陸町綾里の綾姫ホールに飾られた。昭和22年の創立以来、大切に保管されてきた写真を同校閉校事業実行委員会(熊谷優志委員長)が同ホールに移設した。閉校した母校を懐かしむ場として、卒業生や地域住民の心のよりどころとなる。

 

保管してきた経緯も判明

 

卒業記念写真が保管されてきた経緯が書かれた昭和55年4月15日付の東海新報の記事

 写真は1枚ずつ額縁に収めた状態で、閉校前まで同校の校舎内に並べられていた。最後の卒業生となった昨年度分の生徒の写真を加え、同ホールの和室につながる廊下の左右に移設、展示した。
 年代によって白黒やカラーで、校舎前や地元綾里の海をバックに撮影され、歴代卒業生計4890人の表情を収めた写真がずらりと並んでいる。職員の集合写真が一緒に収められている年もある。
 同校は昭和22年4月に綾里小学校の一部を仮校舎として創立。同27年に現在地に新築移転し、今年3月まで使われていた校舎は、54年3月に完成した。
 同実行委では、これまで校舎に卒業記念写真が毎年展示されるようになった経緯が分からずにいたが、3月に閉校準備で書類を整理していた際、その理由が判明する貴重な資料が見つかった。
 昭和55年4月15日付の東海新報の記事で、同53年度PTA(浦島恒夫会長)から、創立された同22年度から54年度までの卒業記念写真33枚が同校に贈られたとの記載があった。
 記事には「寄贈は校舎改築記念事業の一環として(三陸町)越喜来の片山写真館協力で、同PTAが行ったもので、古い校舎がなくなっても、昔の思い出をいつまでも残したいという父母たちの願いが込められている」などと記されている。
 当時の佐藤栄校長は「これからも卒業記念写真を飾っていくことにしています。永久に続くことでしょう」とコメントし、未来を予言していた。
 卒業生で同実行委の熊谷委員長(50)は「今回、歴代生徒の写真を展示しようと考えた私たちと、当時のPTAの方々の思いが重なり、74年分全てをそろえることができた」と心を震わせた。「卒業生全員の写真が残せることはとても貴重で、諦めずに移設に取り組んで良かった。今後、時間の経過とともにますます母校への思いは強くなると思う」と意義をかみしめた。