29日に本格オープン ワタミオーガニックランド 現地で上棟式(別写真あり)

▲ 現地での上棟式で餅まきが行われ、活気にあふれた

 外食チェーン大手のワタミ㈱(渡邉美樹代表取締役会長兼グループCEO)が陸前高田市気仙町今泉北地区で整備している農業テーマパーク「ワタミオーガニックランド」モデルエリア(3・3㌶)は、29日(木・祝)に本格オープンする。これを前に7日、現地でインフォメーション棟の上棟式があり、渡邉会長の案内で達増拓也知事や戸羽太市長がバーベキュー棟や農業ハウスなどを視察。有機・循環型社会をテーマに、今後20年かけて段階的に施設を整えていく大事業に期待を寄せた。

 

バーベキュー棟内で今後の構想などに関して懇談する(手前左から)達増知事、渡邉会長、戸羽市長

 上棟式には、同社や市などの関係者らが出席。近く完成するインフォメーション棟前で餅まきも行われ、活気に包まれた。
 その後、達増知事が駆けつけ、モデルエリア内の施設を見学。ハウスで野菜の収穫を体験したあと、県産牛肉、豚肉のバーベキューなどを試食した。
 達増知事は「陸前高田に素晴らしい場所ができてうれしい。持続可能な農業に福祉分野を絡めた計画で、復興から地域振興につながると感じた。全国、世界中から多くの人に来てほしい」と期待を寄せた。
 戸羽市長は「夢のある岩手らしい、陸前高田らしい施設だ。地方創生のモデル的な場、命を学ぶ場として修学旅行生などにも来てもらいたい」と喜んだ。
 モデルエリアは昨年11月に着工し、一部は3月下旬に開業した。農業ハウスは3棟で、ベビーリーフなど野菜の収穫体験を楽しめる。バーベキュー棟1棟は130人程度収容でき、手ぶらで高品質の県産食材を味わえるのが特徴。インフォメーション棟では物販も行い、キッチンカー1台とトレーラーハウス1棟では焼き肉バーガーやソフトクリーム、クレープ、コーヒーなどドリンク類を提供している。
 地元から雇用しているアルバイト従業員は現在6人で、本格オープンの29日までに20人に増やしたい考え。エリア内には約7000平方㍍のブドウ畑も整備しており、29日から5月にかけて苗木500本を植える。
 事業全体の面積は、東京ドーム5個分の広さの約23㌶。来年1~3月にはレストラン棟、5月には世界的建築家の隈研吾氏が設計した野外音楽堂のオープンを予定している。
 ブドウ畑の栽培エリア拡大も計画し、来年はモデルエリア外の畑に2000本を植え、再来年からワインの出荷を始める。以降、観光客を呼び込みながら、6次産業化、農福連携、エネルギー循環を推進していく。
 視察終了後、渡邉会長は報道陣からワタミグループにおける新型コロナウイルス感染拡大の影響について問われ、「確かに苦しいが、コロナ収束を見据え、今種をまいておくことが重要。20年かけて整備していく構想は変わらない。多くの人に来てもらい、経済復興の力になりたい」と力を込めた。