高まる〝巣ごもり〟需要 寄付件数、金額とも増加 令和2年度のふるさと納税

 住田町は、令和2年度のふるさと納税による寄付状況をまとめた。県内外から1330件、計3399万円の寄付があり、件数は前年度を845件、金額は約955万円上回った。新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛により、インターネット通販の感覚で返礼品を受け取る〝巣ごもり需要〟が高まったことが大きな要因とみられる。コロナ禍によりあらゆる活動が制限される中、ふるさと納税を通じた同町のPRに期待が高まる。

 

「応援消費」も後押し

 ふるさと納税は、出身地など特定の自治体に寄付する制度。住田町は平成20年に「住田町森林・林業日本一の町づくり寄付条例」を制定し、森林・林業を通じたまちづくりなどに活用してきた。
 27年度には寄付金の使途を幅広いまちづくり事業に拡大。▽森林・林業日本一の町づくり▽子育て・福祉・医療の充実▽教育・文化・スポーツの振興▽住民活動団体の支援▽そのほかのまちづくり──の五つから支援分野を選べるようになっていたが、昨年度からは総合計画に掲げる取り組みも加えて支援分野を細分化。
 返礼品には、町の花・アツモリソウ苗や滝観洞入洞券、地元食材を生かしたセット、木工製品のほか、町観光協会が町内産の野菜を使用して昨年開発したソース「種山ヶ原〝三ツ星〟物語」も加え、住田らしさをPRしている。
 令和2年度の使途指定をみると、「住民活動団体の支援」が10件1785万円と寄付金額の約半数を占めた。このほか、「町長が町の優先課題を踏まえ決定する事業」に313件384万円、「少子化対策事業」に292件321万円、「子育て、福祉および医療の充実」に117件155万円、「県立住田高校魅力向上事業」に53件60万5000円など、幅広い分野に多くの寄付があった。
 寄付件数の大幅な増加は、新型ウイルスの感染拡大が主な要因とみられる。ふるさと納税はオンライン上で寄付を申し込むことができ、返礼品は自宅に送られてくるため、外出自粛により自宅で過ごす時間が増えたことで、インターネット通販と同じ感覚で使う人が増えているとされる。
 こうした傾向は各地の自治体で共通している。ふるさと納税の仲介サイト「ふるさとチョイス」を運営する㈱トラストバンクでは、今年2月、同社のサイトに情報を掲載している1596自治体を対象にふるさと納税に関するアンケートを実施し、836自治体から回答を得た。
 それによると、令和2年の寄付額が前年を上回った自治体は836自治体のうち621自治体で7割を超え、このうち83自治体は前年比で3倍以上伸びた。
 「コロナ禍の応援消費」が寄付額に影響したかとの問いには、住田町を含め、「とても影響した」「やや影響した」との回答が全体の6割を占め、地方の生産者を応援しようとの意識も寄付額を大きく後押しした形となった。
 町では、JR東日本が自社のショッピングサイト内に昨年10月に開設した「JRE MALLふるさと納税」にも参加しており、本年度中には「楽天ふるさと納税」にも出品する予定。本年度に入ってからは期間限定の返礼品として山菜(シドケ)やトウモロコシも新たに取り扱っている。
 町企画財政課の小野田海波主事(23)は「返礼品も追加されているので、それらを通じて住田の魅力を広く発信していきたい」とふるさと納税制度を通じたまちのPRに意欲を示す。
 2年度の寄付指定区分別の内訳は別表。