東日本大震災10年/教訓や復興 肌で感じて 震災津波伝承館 本年度の学校利用開始(別写真あり)
令和3年4月15日付 6面
陸前高田市の東日本大震災津波伝承館で14日、本年度の学校利用受け入れがスタートした。この日は県内外の4中学校が修学旅行で来館し、解説員とともに見学をしながら震災の教訓や復興の歩みなどを肌で感じた。同館には7月までに100件を超える学校からの予約が入っており、館内見学を通じ、次代を担う子どもたちに震災の事実や教訓を発信していくとしている。
同館は震災の教訓伝承、発災から復興までの状況と支援への感謝発信を目的に、県が高田松原津波復興祈念公園内に整備し、令和元年9月22日に開館。国内外の来館者らが津波の仕組みや震災の事実、教訓、復興に向けた取り組みなどを学ぶ場となっている。
また、県内の学校や教育委員会などへの訪問、教員研修会の開催なども展開。復興教育による同館の利活用をPRする取り組みにも力を注いでいる。
2年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、4月から5月にかけて休館を余儀なくされた。再開後は、PR活動やコロナ禍による修学旅行先の見直しなどを受け、秋を中心に学校の利用が増加。学校だけでも243件、1万60人の利用があったという。また、一般の来場者数も少しずつ回復し、先月7日には開館からの来場者数が30万人を達成した。
同館によると、本年度も県内外の学校から利用の問い合わせが寄せられており、今月12日現在、7月までに小学校、中学校、高校、大学・専門学校などを合わせて105件が予約。県内の小学校が52件と半数を占め、県外は北海道や東北、新潟県などが中心という。
本年度の校外学習受け入れ初日となった14日は、県内外の4中学校が利用。このうち、北海道厚真町の厚南中学校(石田憲一校長、生徒43人)の3年生18人は、修学旅行の一環で同館を訪れた。
生徒らは解説員の案内を受けながら館内を見学。同校がある厚真町は平成30年9月に北海道胆振東部地震が発生しており、生徒らは同地震との共通点、違いなども考えながら、震災の事実や迅速な避難の必要性、防災などへの理解を深めた。
山崎煌丞君は「胆振東部地震を経験していることもあり、震災が発生した岩手の方々の思いや防災対策などを知ることができて良かった」と話し、充実した表情を見せていた。
同館では、すでに夏から秋にかけても学校利用の予約が入っているといい、藤澤修副館長は「震災の事実と教訓を次の世代に伝えていくのは、非常に大切。校外学習などを通じて、県内外の児童生徒に多く利用してもらいたい」と話していた。