ふるさと納税 2年度実績過去最高の6・5億円 巣ごもり需要増が後押し

 陸前高田市は、令和2年度のふるさと納税「陸前高田がんばっぺし応援寄附金」実績(速報値)をまとめた。寄付額は6億5131万円と前年の約1・6倍で、過去最高を記録した。新型コロナウイルス感染拡大を背景とする「巣ごもり需要」の高まりが寄付を伸ばしたとみられる。本年度は寄付額8億円を目標に掲げ、返礼品の充実、寄付者と返礼品提供事業者とのつながり強化などを図っていく。

 

本年度は8億円目指す

 

 2年度の寄付金を月別でみると、最多は例年駆け込みで寄付が増える12月で、約3億3300万円。年間の半分を占める好調ぶりをみせた。以下、11月約8900万円、10月約4900万円、9月約2600万円などと続く。
 同年度から返礼品取り扱い業務を担う、陸前高田地域振興㈱と北上市の㈱フロムゼロの共同企業体「ふるさと陸前高田」は返礼品の拡充に取り組み、昨年4月時点で約300品だった品数を1年間で約560品に増やした。寄付者に返礼品情報や同市の復興の様子などを伝えるダイレクトメッセージ配信も定期化し、PRにも力を入れた。
 ふるさと陸前高田の担当者は「コロナ禍で返礼品を提供する事業者と対面でやり取りするのが難しかった中で、取り組みたいことはできたと思う。過去最高の寄付をいただき素直にうれしい」と喜ぶ。
 ふるさと納税は、出身地や応援したい特定の自治体に寄付できる制度。寄付額から2000円を引いた金額が、自治体の住民税、個人税から控除される(上限あり)。都市と地方の税収格差を埋める目的で始まり、自治体にとっては行政予算を増やすことができ、返礼品を通じて地元の魅力をPRできる。
 市は平成20年度に始め、東日本大震災後の中断を経て、27年7月に受け付けを再開。返礼品の梱包(こんぽう)・発送作業を気仙両市の授産施設が担うなど、障害者の就労の場も創出している。
 寄付額は28年度から令和元年度まで毎年4億円台で推移。納税者が選べる寄付金の使い道は「子ども支援」「農林水産業・商工業などの振興」など九つの分野を設けている。
 ふるさと陸前高田は、地元事業者がふるさと納税について学ぶ勉強会を昨年に続き開催する方針。寄付者と事業者をつなぐウェブミーティングの実施も検討していく。
 市商政課ブランド推進係の遠野正隆係長は「寄付増は、それだけ陸前高田市に関心を寄せてもらっているということで大変喜ばしい。コロナ収束後に陸前高田に来てもらうきっかけともなるよう、本年度もPRに努めていく」と意気込んでいる。
 平成27年度以降の年間実績は別掲。