新型コロナウイルス/高齢者のワクチン接種開始 施設入所者を先行的に 職員含めまず95人(別写真あり)

▲ 百年の里入所者にワクチンを接種

 大船渡市内で26日、高齢者施設を対象とした新型コロナウイルスワクチンの先行接種が始まった。初日は社会福祉法人成仁会(山崎シゲ会長)が運営する立根町の特別養護老人ホーム成仁ハウス百年の里で行われ、施設入所者と職員95人に接種。今後、先行接種は市内15施設の入所者約550人と、施設従事者約650人の計1200人を対象とし、6月中旬までに2回行う。医療従事者に続き、気仙でも高齢者接種がようやく動き出した。

 

混乱なく「少し安心」の声も

 

 この日接種が行われたのは、百年の里のみ。午前は入所者42人、午後は職員53人を対象とした。
 入所者に対する接種では、医師の問診を終えた後、看護師から注射器で接種を受けた。20分間の経過観察を含め、入所者全員の完了までに要した時間は約1時間30分。事前にシミュレーションを重ねていたといい、目立った混乱はなく、入所者からは「なんと早いごと」「痛くながっだでば」といった声が聞かれた。
 接種を終えた山口誠さん(93)は「最初はチクッとしたけど、何ともなかった。新型コロナウイルスの予防で手洗いとマスクをちゃんとしているが、きょうのワクチンで少し安心した。孫の顔が早く見たい」と話した。同日午後4時現在で、接種後に体調異変を訴えた入所者はいなかったという。
 接種を担う山崎内科医院=盛町=の山崎一郎院長は「日ごろから職員が体調管理を行い、入所者の回診も行っているので、きょうは計画的にでき、スムーズに終えることができた」と語った。百年の里では27日にも実施し、30日(金)までに成仁会が運営する各施設対象者約470人分の1回目接種を終える。
 市によると、市内の本年度65歳以上高齢者(昭和32年4月1日以前生まれで、住所を有する人)は、約1万3000人。一方、住民向けのワクチン接種に関しては、先週までに約1000人分(1人2回接種で、1950回分)が配分された。
 安定供給には時間を要する見込みで、市ではクラスター(感染者集団)の発生など、感染まん延の危険性を低減させる観点から、高齢者施設の入所者と従事者の先行接種に入った。嘱託医らとの調整を経て、準備が整った施設から順次始める。
 施設入所者らに対する接種が一巡するのは、来月21日(金)の見込み。それぞれ、約3週間の間隔を置いた後に2回目の接種に入り、6月上旬~中旬の完了が見込まれる。
 施設入所者を除く65歳以上の高齢者は、医療機関での「個別接種」と、市総合福祉センター(盛町)での「集団接種」で対応し、開始時期は5月末から6月初旬を想定。対象者には今月22日から接種券などが届き始めたが、予約方法などに関して来月中旬に再度周知を行うことにしており、市は「今は大切に保管を」と呼びかける。
 同市のほか気仙では、陸前高田市内の高齢者施設7施設の入所者、職員約500人に対する先行接種は、早ければ5月10日(月)開始を見込む。同日の週に65歳以上の市内高齢者に対して接種券を発送し、同24日(月)の週に、高田町の市保健福祉総合センターでの集団接種と、市内医療機関での個別接種を同時に開始する計画。現在、接種の予約受付開始時期を検討している。
 住田町ではすでに、高齢者に対してワクチン接種券を発送。5月10日~18日(火)に高齢者施設従事者と入所者合わせて約160人、同19日(水)~28日(金)に一般高齢者約160人を対象に1回目のワクチン接種を行う。集団接種のみで、会場は世田米の県立大船渡病院附属住田地域診療センターとなる。