環境美化の機運醸成へ 高田町の中山さん 氷上山で施設修繕など活動
令和3年4月28日付 3面

県内各地の山を登り自然保護活動を行っている陸前高田市高田町の中山明里さん(59)=三重県出身=は、同市の氷上山で山道の清掃や山小屋の修繕などボランティア活動を展開している。山頂付近にある三つの神社には、神社の名前を記した手作りの標柱も立てた。地域住民の山を愛する心を育むとともに、老朽化する施設改修や環境美化への機運醸成にもつながるよう願って活動を続ける。
普段は医師として働く中山さん。国定公園や県立自然公園などで自然保護活動を行う県のグリーンボランティアメンバーでもある。休日を利用した氷上山でのボランティア活動は平成28年ごろから始め、年内10回ほどの頻度で山を登りながら、地元のボランティア仲間とともに環境美化活動に取り組んでいる。
山道の草刈りや道をふさぐ倒木の処理、9合目の祈祷ヶ原にある木造の山小屋「登奈孝志荘(となこしそう)」の修繕など、活動内容は多岐にわたる。
一関市から陸前高田市に移住した昨年春には、山頂付近で「氷上三社」としてまつられる衣太手神社(東御殿)、登奈孝志神社(中御殿)、理訓許段神社(西御殿)に、「ここがどんな場所か登山者に分かるように」と、それぞれの社名を記した標柱を立てた。
活動を行う中で気にかけているのが、登山者向け施設の老朽化。祈祷ヶ原前にあるトイレや山小屋内の休憩所で、床が抜け落ちそうな部分や雨漏りが心配される箇所があるという。現在は、ボランティアが板で補強するなど応急処置を施しているが、中山さんは「根本的な解決にはならない」とし、本格的な改修の必要性を訴える。
施設を所有する市でも、市観光物産協会などとともに施設の補修作業は随時行っている。当面は、市が3月に策定した同市公共施設個別施設計画にのっとり、長寿命化の対策をとる方針という。
市観光交流課の村上知幸課長は「山をいつもきれいにしてくださるボランティアの方々には大変感謝している。施設の老朽化対応は今後の課題として受け止め、検討していかなければならない」と語る。
中山さんは「山の環境が良いことは、登山者だけでなく地元の方々にとってもうれしいこと。氷上山が多くの人に愛される場所であり続けるためにも、環境美化への機運がもっと高まってほしい」と願う。