お別れプレハブ庁舎 通常業務終了 6日に新庁舎が開庁

▲ 仮設庁舎での通常業務最終日となった30日、市民課を訪れる市民ら

 陸前高田市は、高田町の中心市街地に整備した新庁舎への移転に伴い、4月30日、同町の高台にある仮設庁舎での通常業務を終了した。東日本大震災からの復旧・復興に向けて約10年間、行政機能の中枢を担ったプレハブの仮拠点がその役割を終えた。新庁舎は連休中に引っ越し作業を済ませ、6日(木)に開庁する。
 30日は、5連休前とあって朝から多くの市民が市役所を訪れた。マイナンバーカード交付申請のため訪れた広田町の鈴木安子さん(63)は「総合窓口でいつも丁寧に対応してくれるので利用しやすかった。新市役所は自宅から近くなるので助かります」と話した。
 かつての市中心部にあった鉄筋コンクリート造3階建て(一部4階建て)の旧庁舎は、震災の津波で全壊。市は被災を免れた学校給食センターなどでの業務を経て、平成23年5月16日に高田町鳴石の市有地に整備した仮設庁舎1号棟へ行政機能の一部を移転した。以降、敷地内に4号棟まで増やし、順次業務を再開した。
 周辺には、市消防防災センター、大船渡署高田幹部交番、市コミュニティホールなどが集まり、県内最大の災害公営住宅・県営栃ヶ沢アパートも完成。三陸沿岸道高田道路の陸前高田インターチェンジ(IC)があり、一帯は多くの人が行き交う拠点となっている。
 当初はプレハブ庁舎を残し、他団体による利活用を検討してきたが、この10年間で老朽化が深刻で、維持管理費や使用後の解体、撤去費を自力で捻出してまで利用を希望する団体がなかったことから、市は解体を決めた。本年度中に撤去する計画で、解体費用は約2億8600万円を見込む。
 市総務部の戸羽良一部長は「仮設ではあったが、この10年間の業務を進めるうえで大きな役割を果たした。新庁舎は市民の利便性も高まる。気軽に足を運んでほしい」と呼びかける。
 仮設庁舎での日直業務は、通常通り5日まで行う。戸籍に関する届け出などを受け付ける。
 電話番号は、新庁舎移転後も変わらず「54・2111」。ただし、電話回線切り替え工事のため、5日夕から夜までの間、一時的につながらない場合がある。
 新庁舎は6日午前8時30分に開庁する。