畜養ウニ 商品として初出荷 綾里漁協 道の駅さんりくで販売へ(別写真あり)

▲ 綾里漁協が畜養し、商品として初出荷されたウニ。1日以降、道の駅さんりくで販売される

 大船渡市三陸町の綾里漁協(和田豊太郎代表理事組合長)は、今年1月に綾里湾から移植し、綾里漁港で畜養していたウニ(殻付き約80㌔)を商品として初出荷した。気仙地区で、畜養したウニが商品化されるのは初めて。1日以降、同町越喜来の道の駅さんりくで生ウニで販売されるほか、同道の駅の食堂でウニ丼としても提供される。同漁協は実入りの増加を確認できたことから、今後も継続的に畜養と出荷に取り組み、新たな収入源にしたい考えだ。

 

効果確認、新たな収入源に

 

 4月28日に同漁港内の畜養施設から水揚げし、同道の駅を運営する三陸ふるさと振興㈱に出荷した。同30日は同社の社員などが仕入れた殻付きウニのむき身作業を越喜来漁港で行い、実入りや色を確認した。初出荷された生ウニは売り切れ次第、販売終了。ウニ丼も季節限定メニューとして提供される。
 綾里漁協では、海中で餌となる海藻が不足し、実入りの悪いウニが増加しているため、新たな畜養・出荷モデルの構築や、海中の生息密度の適正化につなげる県の「黄金のウニ収益力向上推進事業調査業務」の委託を受け、今年1月に1000個を同漁港内の畜養池(約500平方㍍、深さ約3㍍)に移植した。
 県の調査期間の約2カ月間、人工的に餌の塩蔵コンブ30㌔㌘を週に2回与えた。
 移植日とその後1カ月ごとに50個を殻むきし、実入りの変化を調べ、身の重さ(生殖腺重量)は約2カ月で1個当たり平均4・4㌘アップし、生残率も9割を超えた。
 同漁協では実入りの増加や色の向上が確かめられたことから、県の調査期間終了後も商品化を目指し、餌を生のワカメに切り替え、独自に畜養を続けた。
 出荷前の4月16日に行った30個の実入り調査では、畜養を始めた1月から約3カ月間で1個当たり平均12・2㌘アップしたことを確認。調査開始時は黒っぽい身が目立ったが、色合いも徐々に鮮やかな茶褐色に変化した。
 綾里湾では、ウニの過剰な生息と磯焼けにより、海藻を餌とするアワビの数量が減り、育ちが悪い「やせアワビ」の割合も増えているため、同漁協では一昨年と昨年はアワビの開口を見送るなど影響が出ていた。
 同漁協では、本年度は水温とウニの行動力が上がる6月ごろから今回よりも数を増やし、期間も延ばして畜養する計画だ。海中からウニの移植を進めることで、生息密度の適正化とともにアワビの増加も図れるか期待される。
 同漁協の川上淳参事は「(県の)調査期間のデータから商品化できることが分かったので、漁協独自にでも畜養、出荷を続け、新たな収入源にしていきたい」と力を込める。