新型コロナウイルス/県内の累計患者1039人 クラスター相次ぐ 入院数も最多規模に

 県内では、4月から今月にかけて相次いでクラスター(感染者集団)が発生するなど、新型コロナウイルスの感染患者が急増しており、6日までに県と盛岡市が公表した累計患者数は1039人にのぼる。同日は入院、宿泊施設等療養中の患者数も過去最多となり、県は「感染が疑われる症状がある場合には、早めに医療機関の受診を」と呼びかけている。
 県と盛岡市の発表によると、4日は検査92件のうち9人、5日は16件のうち28人の計37人から新型ウイルスを検出。民間機関は不検出だった検査件数をまとめて報告できるため、同日は報告数が少なく、検査件数が検出件数を下回った。
 奥州市26人、盛岡市4人、県央保健所管内と花巻市が各3人、一関市1人で、いずれも重症ではない。一方、4日には入院治療中だった重症患者1人が死亡。6日には入院患者1人が重症化したとの報告があった。
 奥州市の高齢者施設クラスターでは、入所する70代~90歳以上の男女21人、職員の60代男女4人、職員の家族である20代男性1人が感染。関連する患者数は68人にのぼっている。
 滝沢市の高齢者施設クラスターでは、県央保健所管内の40代女性と80代男性の感染を確認。女性は施設の職員で、男性は県内921人目・同保健所管内70代女性の同居家族。累計患者数は39人となった。
 盛岡市の20代男性は学生で、992人目・同市20代男性の濃厚接触者。同市50代団体職員男性は医師で、993人目・同市70代自営業女性と会食があった。一関市40代会社員男性は、902人目・盛岡市50代会社員男性と同じ飲食店を利用していた。
 県央保健所管内30代会社員男性は、975人目・同市20代男性と接触。同市20代学生男性は県外患者と、花巻市の50代公務員女性、10代職業非公表の男女は過去の県内患者との接触歴がある。盛岡市40代会社員男性は、現時点で過去の感染事案との関連がみられていない。
 6日正午現在、患者1039人のうち、入院中は124人(うち重症者2人)、宿泊施設療養中は48人、退院などは842人(うち死亡33人)、入院等調整中は25人。
 県内では昨年7月、初めて2人の感染患者を確認。1カ月当たりの新規患者確認数をみると、同月が4人、8月が15人、9月と10月が4人ずつ。11月には職場や飲食店などで複数のクラスターが発生し、初めて100人台を超える177人となった。
 12月には病院内での集団感染も起き、患者数は185人に達した。今年に入ってからは、1月107人、2月58人、3月92人で推移し、クラスターの発生数も各月3件ずつと比較的少なく、新規患者ゼロの日もあるなど、やや落ち着きがみられた。
 しかし、4月は盛岡市の教育・保育施設や滝沢市の高齢者施設、県内のスポーツ活動など10件のクラスターが発生し、302人の感染を確認。感染経路不明の患者も複数あった。
 今月も、奥州市の高齢者施設でクラスターが発生し、県内では5日間で91人の感染を確認。6日正午現在の入院患者124人と、宿泊施設等療養中の48人は過去最多となった。
 県医療政策室は同日、入院患者の病床確保について「県全体の確保数の半分にも達していない」としたものの、「一部地域では入院調整が難しくなっている。全県で調整し、自宅療養者が出ないように進めていきたい」との考えを示した。
 感染による死亡者数は33人。基礎疾患を有する65歳以上の高齢者がほとんどを占めている。
 また、県内の患者からも変異株を確認。感染や重症化がしやすいと指摘されるN501Yは3件、関東や東北で多くみられるE484Kは31件を検出した。
 気仙では昨年11月以降、38人の感染患者を確認。市町別の内訳は大船渡市30人、陸前高田市1人、住田町7人で、2月に大船渡市内で学校など2件のクラスターが発生した。