新市庁舎 待望の船出 震災で全壊 市街地に新築 ポスト復興へ業務開始 (別写真あり)

▲ 中心市街地に完成した新庁舎で業務がスタート

 東日本大震災の津波で全壊し、陸前高田市高田町の中心市街地に移転新築された新市庁舎は6日、開庁した。市は震災後、住宅再建やなりわいの再生などにかかる復旧・復興事業に優先的に取り組み、この間、高台にあるプレハブの仮設庁舎で行政サービスを展開してきた。ハード面の総仕上げと位置づける市庁舎整備がようやく完了し、関係者が「ポスト復興」を見据えた拠点の船出を祝った。(7面に関連記事)

 

テープカットを行い開庁を祝った

 同日は午前8時30分の業務開始を前に、現地で開庁式が行われ、市職員や市議ら約160人が出席。来賓の福田利喜市議会議長が祝辞を述べ、戸羽太市長らによるテープカットやくす玉開披で開庁を祝った。
 第1号の来庁者となった高田町の金野雄さん(54)は「新しい市役所を拠点に、まちがにぎわっていってほしい」と願いを込めた。
 税務課を訪れた米崎町の60代女性は「仮設の庁舎は2階を歩くとギシギシ音が鳴ったりしていて、職員の人も仕事をするのが大変だったと思う。新庁舎は、入るのが緊張するほど立派だ。市民が気軽に相談できる親しみのある市役所になってほしい」と話した。
 新庁舎は、高田町下和野の旧高田小跡地に整備。敷地は1万3000平方㍍で、鉄筋コンクリート造7階建て、延べ床面積は旧庁舎とほぼ同じ5919平方㍍。事業費は46億6685万円で、震災復興特別交付税や被災施設復旧関連事業債を充て、市が約7億6500万円を負担する。
 1階に総合案内窓口のほか、市民課、税務課、保健課国保係、まちづくり推進課、2階に保健課、福祉課、子ども未来課など市民の利用が多い窓口を置き、1階南側の一角に自由に使える市民交流スペースを設けた。7階の展望ロビーからは新たな市街地や広田湾を一望でき、奇跡の一本松に関する記念品などを常時展示し、震災支援への感謝を発信する。
 各課窓口には、車いすに座ったまま利用できるローカウンターや記載台を設置。多くの人の利用が見込まれる1、7階のトイレ入り口付近は、視覚障害者の白杖(はくじょう)を感知すると、障害者ら向けトイレに誘導する音声が自動で流れる。
 災害時の行政機能まひを回避するため、屋上に設けた自家発電設備で停電時でも10日間程度、業務を行えるようにする。
 旧市街地にあった被災庁舎は、鉄筋コンクリート造3階建て(一部4階建て)で、市によると職員111人が犠牲となった。新庁舎再建位置を巡り、市民から津波で被災した市街地周辺ではなく、「津波の危険性がない高台」を求める声もあったが、市は最終的に高田小跡地をT・P(東京湾平均海面)12㍍から同17㍍にかさ上げし、安全を確保したうえで新築することに決めた。
 戸羽市長は「市庁舎を建てる際さまざまな議論があったが、この場所に、この形で建ててよかった、市民にとって身近な市役所になったと思ってもらえるような行政サービス提供に努める。長い長い10年間だったが、ようやく全国に、世界に恩返しできる環境が整った。まちの発展に向けて頑張っていく」と誓いを新たにした。
 新庁舎の住所は、高田町字下和野1。電話番号は変わらず、54・2111。