自転車で巡る旅いかが ガイドツアー事業開始 道の駅高田松原の運営会社
令和3年5月9日付 7面

陸前高田市気仙町の道の駅「高田松原」を指定管理する㈱高田松原(熊谷正文社長)は、観光客に市内を案内する自転車ガイドツアー事業に乗り出した。道の駅を起点に、東日本大震災の遺構や里山・里海を巡り、津波の脅威や復興の姿だけでなく、三陸の自然や文化、この地で暮らす市民の営みを感じ取ってもらおうと商品化。まずは3コースを用意し、「陸前高田の魅力に触れてほしい」とPRする。
観光資源をPR
「タカタ・ポタ・サイクル」の事業名で、今月1日からスタートした。
コースは、気仙町長部地区の里海や住宅再建が進む同町今泉地区の高台などを巡る「気仙コース」、特産「米崎りんご」の畑や蛇ヶ崎、矢の浦など豊かな自然を感じられる「小友米崎コース」、道の駅が入る高田松原津波復興祈念公園とまちなかをまわる「公園まちなかコース」の三つ。いずれも震災遺構を見学する。
自転車は、電動アシスト付きの10台と通常の5台の計15台を配備。同社のスタッフがガイドを務め、車では実感できない地域の魅力を伝える。
料金・所要時間は、気仙コースが1人6500円、3時間30分、小友米崎コースが7500円、4時間30分、公園まちなかコースが4500円、2時間。3コースとも主なスポットを提案するが、「気軽に楽しむ」を主眼に置いているため、あえて行程をパッケージ化せず、利用者の要望に応じて巡る場所などを変更する。小友米崎コースは、船で広田湾内を周遊するオプションも用意している。
津波復興祈念公園は国、県、市が一体となって整備を進めており、震災犠牲者の追悼、教訓の伝承、にぎわいの創出を担う。道の駅「高田松原」は令和元年9月に開業し、県内外から大勢の観光客が訪れている。
昨年は、新型コロナウイルス感染症の影響でゴールデンウイーク中臨時休業したが、今年は好調ぶりをみせた。来店者数は今月3日に7400人、4日に7600人と、立て続けに開業以来最多を更新した。
7月には、施設西側に整備している屋外休憩スペースが完成し、震災後初となる高田松原の海開きが控える。㈱高田松原は、こうした客数増を見込める好機を捉え、道の駅だけでなく、まち全体の活性化にも寄与しようと、観光事業を強化していく方針。自転車ガイドツアーと同時に公園内の震災遺構などを歩いて案内する「お散歩ガイド」(有料)も始めた。
同社スタッフは「自然災害との共存を積み重ねてきた陸前高田の歴史や文化、そして人々の営みこそ大きな魅力。素晴らしい景色とともにそうした素晴らしさを伝えたい」と話す。
問い合わせは、同社(℡22・8411)まで。