今後につながる活気も 気仙のゴールデンウイーク 観光地に2年ぶりの人出

▲ 2年ぶりに開催された碁石海岸観光まつり

 新型コロナウイルスの影響下では2度目となった、今年のゴールデンウイーク(GW)。昨年は軒並みイベント中止や休業を余儀なくされたが、今年は感染予防を徹底し、規模を縮小しながら復活した催事もあり、観光地や商業施設に活気が戻った。例年に比べればほど遠いものの、人出は好天に恵まれた4日がピークに。県外からの帰省客は少なかった一方、三陸沿岸道路の整備効果や〝近場〟を楽しむ県内客の来訪がにぎわいを後押しした。

 

碁石観光まつりの来場一昨年の4割 大船渡

 

 大船渡市では3、4の両日、碁石海岸観光まつりが2年ぶりに開かれた。実行委によると、3日は5000人、4日は7000人の計1万2000人が来場。過去最多だった一昨年の3万2000人の半数にも満たなかったが、東日本大震災翌年の平成24年の1万1000人は上回った。
 主会場は、末崎町の碁石海岸レストハウス前駐車場の約3700平方㍍で、実行委では会場内に1800人以上入った段階で入場制限を計画。市が定めるイベント開催の目安では、収容人員の算出を1平方㍍当たり1人、全体の50%以下としている。
 両日とも、入場制限はなかった。4日の正午前後に人出のピークを迎えたが、1000人までは達しなかったという。
 大船渡町のキャッセン大船渡では2、3の両日、屋外イベント「春のマルシェ」を催したが、降雨や強風などの影響で、人出は伸び悩んだ。4月29日からは「いわてGoToEatキャンペーン」に合わせた飲食メニュー販売を各店が企画。期間を5月末までとしている中、5000円分を4000円で購入できるチケットを求めて多くの住民らが訪れ、今後の集客につながる動きも見られた。
 宿泊滞在ができるバンガローやコテージ、バーベキュー炉などがある赤崎町のレクリエーション観光施設・フレアイランド尾崎岬は昨年、原則として利用を県内在住者のみに限定。今年は県外在住者にも対応したが、利用者数は昨年を下回った。同施設では「制限しなかった分、自重したのかもしれない」とみる。
 昨年のGW期間は休業していた三陸町越喜来の道の駅さんりくでは、青空が広がった4日は駐車場がいっぱいになり、ツーリングの休憩で利用する人や家族連れなどでにぎわった。
 運営する三陸ふるさと振興㈱によると、一昨年に比べると客の入りは6〜7割で、売り上げは5割ほど。地元の帰省客や常連客よりも、感染拡大地域を避け、県外から初めて訪れる人たちが多く、売り上げの面では貝毒によるホタテの鮮貝出荷自主規制をはじめ、品ぞろえの状況も影響したとみている。
 入浴施設「夏虫のお湯っこ」の来客数は一昨年から約3割減、宿泊施設「遊・YOU・亭夏虫」は約2割減で、県内客が多かった。


道の駅9日間で3万人来店 陸前高田

 

大勢の観光客らが訪れた道の駅「高田松原」(4日)

 陸前高田市では、新型ウイルス感染拡大の影響で、恒例行事を中止したり、規模を縮小する動きが一部でみられた一方で、観光施設などでは大勢の人が訪れ、にぎわいをみせた。
 高田松原津波復興祈念公園内にある道の駅「高田松原」の来店者数は、4月29日〜5月5日の7日間で計3万240人に達した。1日当たりでみると、3日は7400人、4日は7600人に上り、令和元年9月の開業以来の最多を連日更新。これまでの最多は開業翌日(元年9月23日)の6500人だった。
 道の駅隣にある東日本大震災津波伝承館の4月29日〜5月5日の入館者数は1万592人。最も多かった日は、3日の2605人だった。
 道の駅のスタッフは「コロナの影響で厳しい入り込みを想定していたが、予想を大幅に上回った。三陸沿岸道の開通や市内の商業施設オープンなどが大きかったのでは。他施設などと連携し、にぎわい創出へ相乗効果を生んでいきたい」と先を見据える。
 高田町のアバッセたかたは4月24日から5月5日まで、2年ぶりに誕生祭&GWセールを開催。感染症防止のため密集を回避するイベントのみ実施した。
 アバッセ専門店街の期間中の来店客数(一部店舗除く速報値)は9784人。コロナ禍を受けて同イベントを中止した昨年よりは客数で28%増、売上高で24%増となったが、多彩なイベントを催した一昨年と比べると客数で29%減、売上高で40%減となった。
 5日に小友町の気仙大工左官伝承館などで予定していた「箱根子どもまつり」は2年連続で中止。広田町の黒崎仙峡温泉で3日〜5日に開かれた春まつりは大幅に規模を縮小した。


悪天候、コロナ影響し客足低調 住田

 

4日には多くの利用があった道の駅「種山ヶ原ぽらん」

 住田町内の観光施設では大型連休に合わせてイベントを開催。3日〜5日には、上有住の滝観洞で「滝に鯉(恋)まつり」(滝観洞観光センター主催)が2年ぶりに開かれた。
 観光センターの運営などを担う住田観光開発㈱によると、新型ウイルスや悪天候の影響で入込数は低調に推移。帰省客によるにぎわいは少なく、県内客を中心に人の動きがみられた。
 4月29日〜5月5日の期間で計623人が訪れたが、新型ウイルス感染拡大前の一昨年と比べると半分程度の入り込みとなった。
 同社が運営する道の駅・種山ヶ原ぽらんでは、4月29日にオープン20周年を記念して、売店で買い物をした先着150人にプレゼントを贈る企画を行ったほか、5月3日〜5日には「屋台広場」を開設して山菜などを販売した。
 滝観洞と同様、雨も影響して入込数は低調だったが、晴れ間が見えた4日は客数が1000人を超えた。4月29日〜5月5日のぽらんの入込数は計4569人で一昨年から4割ほど減少した。