「緩やかな見守り」推進へ 地域助け合い協議会が新事業 住民向けに〝気づき10項目〟
令和3年5月19日付 1面
大船渡市地域助け合い協議会(会長・新沼秀人吉浜地区まちづくり推進員、委員20人)は本年度、市内全地区共通の新たな取り組みとして「高齢者に対する緩やかな見守り」に取り組む。1人暮らしの高齢者世帯が東日本大震災前との比較で約2倍に増える中、地域住民ができる範囲で異変に気づいて迅速な対応につなげるほか、地域住民に対して同協議会への理解浸透や関心喚起を図る狙いもある。まずは実践しやすい〝気づき10項目〟=別掲=をまとめ、持続可能な福祉充実を目指す。
高齢単身世帯 10年で倍増
令和3~5年度を期間とする市高齢者福祉計画・第8期介護保険事業計画によると、昨年12月1日現在の住民基本台帳に基づく市内1万4880世帯に対し、65歳以上の高齢者がいるのは9172世帯(61・6%)となっている。
高齢者の単身は2789世帯(18・7%)で、高齢夫婦は2010世帯(13・5%)。市内高齢者の単身世帯は、東日本大震災前の平成22年時の国勢調査で1405世帯だったことから、10年で約2倍となった。
介護保険制度では、高齢者の介護予防を行うとともに、高齢者が要介護状態となってもできる限り住み慣れた地域で暮らすことができるため、助け合い活動を規定した「生活支援体制整備事業」の推進が盛り込まれている。
市は平成27年度、市版の地域助け合い協議会を設置。地区ごとに助け合い活動を実践する地区版の設立を後押ししてきた。結果、平成31年4月までに、市内11地区に同協議会が設けられた。
以降、各組織では地域の実情に応じた助け合い活動(生活支援)や介護予防活動に取り組み、定着しつつある。本年度はこうした活動の充実を図るとともに、新規の取り組みとして「高齢者に対する緩やかな見守り」に力を入れる。
具体的には「気づき」「声がけ」に関する10項目を設定。市民らが実践しやすく、これまでも実際に行政機関などに寄せられた事例などからまとめた。
各地区の助け合い協議会が、地域公民館を通じて住民に呼びかける。1項目でも当てはまったり、異変を感じた時は、市地域包括支援センター(℡26・2943、市総合福祉センター内)に連絡を求める。
市内での支え合い活動では、ごみ出し支援や買い物送迎などの生活支援、介護予防につながるサロン活動が行われている。一方で「地域住民に浸透していない」などの指摘もあった。助け合い活動への理解者や協力者を増やすとともに、住民へのさらなる理解につながる取り組みが求められている。
こうした計画は、17日に盛町のリアスホールで開かれた令和3年度第1回市地域助け合い協議会で確認。委員からは「自主的な活動がゆだねられている各地区協議会の中で、話し合って決めていくような形を」「もっと地域でやりやすいように仕組みを考えていくべき」といった声が寄せられた。
本年度から3年間の委員は次の通り。
佐藤惟司(盛地区まちづくり推進員)大和田洋太郎(大船渡同)新沼眞作(末崎同)金野律夫(赤崎同)千葉憲明(蛸ノ浦同)吉川弘(猪川同)新沼良治(立根同)山下通(日頃市同)熊谷勵(綾里同)鈴木健悦(越喜来同)新沼秀人(吉浜同)
今野隆子(市社会福祉協議会副会長)竹野武子(市民生児童委員協議会長)菅野勝子(市シルバー人材センター理事)永澤恵里子(市在宅介護支援センター所長)鈴木浩子(市福祉の里在宅介護支援センター主任介護支援専門員)笹野淳子(末崎町在宅介護支援センター所長)柏﨑きよ子(三陸在宅介護支援センター介護支援専門員)上関優(大船渡共生まちづくりの会事務局長)金野志津江(大船渡地区認知症の人と家族の会世話人)