気仙の小学校で運動会ピーク 地域に笑顔と元気発信 コロナで規模縮小も

▲ 4〜6年生62人が地域の伝統芸能・赤澤鎧剣舞を披露した=大船渡北小

春開催、児童ら全力発揮

 気仙の小学校は23、24の両日、運動会のピークを迎えた。新型コロナウイルスの影響を受け規模を縮小しつつ、2年ぶりに春開催に戻った主要行事。児童らが各種目でチームワークを発揮し、全力で挑む姿と笑顔で地域に元気を届けた。

 

郷土の伝統勇壮に演舞/大船渡北小

 

 24日に行われた大船渡市立大船渡北小学校(佐々木一義校長、児童116人)の運動会では、本年度も児童たちが地元の郷土芸能・赤澤鎧剣舞を披露し、地域に伝わる歴史や伝統を演舞で発信した。
 同校では昭和60年から、運動会で赤澤鎧剣舞を披露。現在は、4〜6年生がこの伝統を引き継ぎ、剣舞の歴史や由来を学習しているほか、地元の赤澤芸能保存会(平山徹会長)から演舞の指導を受け、本年度は62人が日々の稽古に取り組んできた。
 本番では、62人それぞれが手製の「尻伽(しか)」を身につけ、同校郷土芸能部に所属する12人は装束を着用して演舞。扇子や太刀を手に、剣舞に込められた意味などを体全体の動きで表現した。
 郷土芸能部の部長を務める久木美乃さん(6年)はこの日、手本役として最前列で演舞。「練習の時より動きがそろっていて、踊っていて楽しかった」と充実した表情を見せた。
 演舞を見守った平山会長(76)は「多くの子たちが赤澤鎧剣舞に興味を持ってくれている。きょうの本番も素晴らしかった。次なる担い手として、剣舞の歴史や伝統を引き継いでいければ」と願っていた。

こいのぼりのもとで心一つ/末崎小

 

153匹のこいのぼりのもとで各競技に力を発揮する児童たち

 末崎小学校(小石敦子校長、児童147人)は24日、伝統のこいのぼり運動会を開いた。青空に泳ぐ色とりどりのこいのぼりのもとで、児童たちが練習の成果を元気に発揮した。
 東日本大震災前から続く同校の伝統行事。震災後は校庭に仮設住宅が整備されたことに伴って休止したが、仮設住宅が撤去された平成29年度から再開した。
 本年度は、降り続いた雨の影響で2日間の延期を余儀なくされたが、教員や保護者が協力して153匹のこいのぼりを空に掲げた。
 開会式では、赤組応援団長の鈴木采羅さん(6年)と白組応援団長の臼井舞桜さん(同)が選手宣誓し、「最後まで戦い抜く」と声をそろえた。
 児童たちは、徒競走や小中高各学年での団体種目、ダンスや末小ソーランの表現種目、応援合戦などで日ごろの成果を発揮。風を受けて生き生きとそよぐこいのぼりに見守られながら、児童会スローガンである「深めよう絆を、心をひとつに笑顔の運動会」を成功させた。

45人全員が輝き同点優勝/吉浜小

 

2人で優勝旗を受け取る佐藤君(左から2人目)と小松君(同3人目)

 吉浜小学校(鎌田慎校長、児童45人)の大運動会は23日に開かれ、「輝け!45人の全力チャレンジャー!」のテーマのもと、一人一人が力を出し切った。新型ウイルスの影響で昨年は10月に延期して実施したため、春開催は閉校した吉浜中と合同で行っていた一昨年以来、2年ぶり。赤組、白組が同点優勝となり、仲良く互いの健闘をたたえ合った。
 開会式では、赤組団長の佐藤晃善君(6年)と白組団長の小松颯太君(同)が「今までの練習の成果を発揮し、全校の団結を一層深め、正々堂々と戦う」と選手宣誓。児童会長の浅沼凜花さん(同)は「全力で取り組み、一人一人輝きましょう」などと呼びかけた。
 児童は曇り空を吹き飛ばすように、徒競走や親子競技などで精いっぱい駆け抜けた。綱引きとリレーは全校で実施し、学年を超えて力を合わせた。コロナ禍の新様式として、声を出しての応援は行わず、ペットボトルにビーズを入れた鳴り物で仲間を後押しした。
 4〜6年生は、冬から春にかけて地元の吉浜鎧剣舞保存会の菊地正人会長から習ってきた剣舞も披露した。
 得点は赤組、白組ともに124点。優勝旗は佐藤君、小松君の両組団長が鎌田校長から2人で受け取った。小松君は「小学校最後の年に2人で優勝旗を持ててうれしかった」、佐藤君は「毎年最下位だった徒競走で、最後の年に2位に入ることができた。練習の時よりもみんな頑張っていた」と笑みを見せた。

 

学年の壁越えて絆深める/気仙小

 

徒競走でトラックを快走する児童ら

 陸前高田市立気仙小学校(佐藤健校長、児童55人)の運動会は、22日が雨天順延となり23日に開催。赤組と白組に分かれた児童らがチーム一丸となり、学年の壁を越えて絆を深めた。
 スローガンは「心のバトンをつなげ!!〜気小55〜」。秋開催となった昨年の運動会に続き、新型ウイルス感染対策で午前のみとした。
 開会式では、佐々木神児童会長(6年)のあいさつに続き、赤組代表の菅野空大君(同)と白組代表の村上響君(同)が「チームワークを極め、運動会を全力でやりきることを誓います」と高らかに選手宣誓。
 準備運動やエール交換を行ったあと、徒競走や親子競技、綱引き、よさこいなど13種目を実施した。
 このうち、学年ごとの徒競走では、選手らがトラックを快走して練習の成果を発揮。仲間からの力強いエールに背を押されながら走りきり、大きな拍手を送った保護者や教職員らとも笑顔を交わした。
 運動会開始前には、同校PTAが午前7時ごろからグラウンドに集まり、前日からの雨でたまった水をスポンジで抜く作業に力を合わせた。
 佐々木児童会長は「総合優勝と応援賞、どちらも目指してみんなと準備を頑張ってきた。雨で運動会ができるか心配していたけど、無事に開催できて良かった」と保護者らに感謝し、行事を楽しんだ様子だった。