コロナ下 悩みの〝受け皿〟に おおふなと市民活動支援センター 各種団体の相談件数増加
令和3年5月25日付 1面

NPO法人おおふなと市民活動センター(木下雄太理事長)は、大船渡市大船渡町のキャッセン大船渡に開設、運営している市民活動支援センターの令和2年度活動実績をまとめた。窓口業務での相談は200件を超え、各種団体などが新型コロナウイルス感染防止策に迫られる中で「オンラインで会議をしたい」「どのように活動すればよいか」といった悩みや課題に対応。市は持続可能な地域社会を見据えた「協働のまちづくり」を推進しており、行政と地域をつなぐ中間支援の役割や、既存組織の課題解決を後押しする役割の比重も高まっている。
昨年度は200件超に対応
市民活動支援センターは平成26年2月、盛町のサン・リア内に開設。「公設民営型」の常設センターで、東日本大震災前からの市民活動や、震災後に立ち上がったNPO、NGOのさらなる充実を後押しするとともに、各種団体が運営、資金獲得等で相談できる環境を提供してきた。
昨年度は、センターの拠点をキャッセン大船渡に移し、新たなスタートを切った。
しかし、新型コロナウイルスの影響で、あらゆる活動が停滞。こうした中、同センターでは、社会の変化に対応できるような支援や、地域づくり活動の支援に力を入れてきた。
昨年度の相談件数(新規相談のみの実績)は206件で、前年度比で37件増加。ここ数年は、100件台で推移していた。
相談で目立ったのは「オンラインで会議を行いたい」「オンラインのイベントに参加したい」など、新型ウイルス感染防止に対応するもの。同センター内にあるフリースペースの提供に加え、自宅や事務所でできるよう支援したほか、パソコンやスマートフォンの活用などデジタル化も促した。
また、新型ウイルスの影響が続く状況で活動が少なくなっている中、周知のあり方についてアドバイスを求めたり、周知に関する相談もあった。
相談件数のうち65%を占めるのは、市内のNPOをはじめとした各種団体。次いで行政が16%、市外NPO等が7%、市内の個人が5%となっている。
相談者のうち、助成金獲得につながったケースは15件で、獲得金額総額は407万円。他にも助成制度を生かし、パソコンやエアコンといった備品整備も後押しした。
このほか、市民活動団体のスキルアップを図ろうと「みんなで一緒に学ぼう会」を開催したほか、市が助成する市民活動支援事業補助を活用した15団体を支援。市民活動団体や、公民館などを訪ねての状況調査も重ねた。
また、市内の各高校で、生徒自身が自主的に地域資源や各種課題解決に取り組む動きにも対応。各種団体の関係者をつなぎ、学びの場を設けるなど、世代を超えた学習や地域活性化にも貢献した。
一方、地域づくり支援では、日頃市地区の住民が暮らしやすい地域づくりを考える「日頃市の未来を語る会」などの運営を支援。地区公民館単位での住民向けワークショップにも参画している。
同センターが把握する市内に活動拠点を置く市民活動団体は、NPO法人や地区公民館を含め約200に上る。震災以降、復興支援などを目的としたNPO法人などが多く設立された一方、市内では、震災前からの既存組織が課題解決や地域活性化に携わる動きも目立つ。団体関係者の高齢化によって活動の岐路を迎えるなど、震災前からの課題がより顕在化している面もある。
また、市は「協働のまちづくり」推進に向け、既存の地区公民館組織から、住民がより主体的に参画できる地区運営組織への移行を見据える。地域と行政間で調整するのではなく、第三者的なNPO法人などが加わっての〝三角関係〟が重要とされる中、中間支援組織の役割を担う同センターへの期待は大きい。
木下理事長(39)は「各種団体からの相談はもちろん、今後は地域支援活動の役割が大きくなっていくのではないか。課題解決や、新しい担い手確保などに貢献したい」としている。