「カギは80歳」 訪問に注力 市が介護予防把握事業を展開 対話通じて健康状況確認
令和3年5月28日付 7面

閉じこもりや低栄養といった健康課題を抱える高齢者を早期に把握して介護予防活動などにつなげていこうと、大船渡市は本年度、80歳となる住民を対象とした介護予防把握事業を行っている。担当職員が各自宅に直接出向き、対話を通じて健康状況などを確認。市では現況確認に加え、住民らの介護予防意識向上を目指す。
住民らの意識向上目指す
市によると、令和2年度の新規介護保険申請者の平均年齢は81・9歳だった。80歳は健康課題への支援を要する年代と考えられることから、現状把握や介護予防につなげようと、5月上旬から訪問活動を本格化させた。
対象は要支援・要介護認定を受けておらず、本年度80歳になる男女約460人。同居家族の有無に関係なく訪問する。市地域包括ケア推進室職員や、事業に協力している大船渡地域こころのケアセンターのスタッフが担当している。
訪問する職員は新型コロナウイルス感染予防でマスク着用を徹底しているほか、2㍍程度の距離を確保して対話。調査は20分〜30分程度で、できるだけ玄関先で終えるようにしている。
会話の中で、健康保持のために行っている習慣や通院状況、生活するうえでの困りごとに加え、新型コロナウイルスの影響に伴う変化などを確認。地域内で開催している交流サロンなども紹介しながら介護予防活動の実践を促すとともに、健康状態や生活状況に応じて医療機関の受診や介護申請を勧める。
養殖ワカメの作業に当たるなど、仕事もこなしながら精力的に日々を過ごす高齢者も多い半面、一部では「新型ウイルスの影響が出てからは、買い物や外出を控えている」といった声も寄せられているという。
昨年以降、地域行事の活動も制限が続く。これまで元気に過ごしてきた人の体調変化に加え、地域の中で〝SOS〟を出せずにいる状況も懸念される。また、新型ウイルスの影響だけでなく、これからの時期は熱中症対策も重要となるため、こまめな健康管理の大切さを伝える。
質問の回答によっては、うつの状態が心配されるため、同センターに継続支援を依頼。訪問は、10月ごろまでに一巡する。
同推進室の中井みま保健師は「介護予防への関心を高めてもらい、生活の中で実践してもらえれば」と話し、期待を込める。
市は合わせて、高齢者交流サロン訪問活動を実施。市内で自主的に開催している地域サロン約100カ所を訪問し、参加者らの声からサロンの様子を把握し、困りごとや支援ニーズを調べている。