佐々木投手 プロ初勝利 〝夢舞台〟甲子園で力投
令和3年5月29日付 1面

プロ野球・千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希投手(19)=陸前高田市出身、大船渡高出=は27日、阪神甲子園球場で行われた阪神タイガースとの交流戦に先発し、プロ初勝利を飾った。5回を投げ、4失点と苦しい内容だったが、味方打線の援護もあり、公式戦2試合目で記念すべき1勝を手にした。高校時代にたどりつけなかった〝夢舞台〟での力投と勝利に、佐々木投手の地元・気仙からも喜びの声が上がっている。(7面に関連記事)
5回4失点も打線が援護
地元からも喜びの声
1軍デビューを果たした今月16日の西武戦以来、中10日空けての登板。高校野球の聖地・甲子園のマウンドに初めて上がった。
初回、先頭・荻野の本塁打で先制したロッテ。佐々木投手はその裏、この日最速となる154㌔のストレートや切れ味鋭いスライダーなどで三者凡退に抑え、幸先の良いスタートを切った。
しかし二回、無死一、三塁のピンチで適時打を許し、同点に。その後、二つの空振り三振をとるも、2死一、二塁からさらに1点を奪われ、逆転された。
三回は四球でランナーを出したあと、守備の乱れもあり1失点。五回に味方打線が1点を返し、2─3としたが、その裏、1点を奪われた。
ロッテは六回、打線がつながり、5─4と逆転に成功。佐々木投手に勝ち投手の権利を持ってマウンドを降りた。ロッテは八回にも本塁打で1点を追加し、6─4で勝利した。
この日の佐々木投手は94球を投げ、被安打7、4失点(自責点3)と苦しい内容ながら、5三振を奪うなど能力の高さを示した。
プロ入り2年目。待ちに待った佐々木投手の初勝利に、猪川小、大船渡一中、大船渡高校と同じチームで汗を流した同級生の今野聡太さん(19)=盛岡大学=は「甲子園球場のマウンドに、仲間である朗希が立ったのがうれしかった。ピンチの場面での力強さ、ギアを上げる感じが高校の時と重なって懐かしさもあった」と祝福。「今後も一ファンとして、将来は球界を代表するピッチャーになってくれることを願っています」と期待を込める。
佐々木投手の出身地・陸前高田市の戸羽太市長は、東日本大震災で亡くなった佐々木投手の父・功太さん(享年37)と親交が深く、「ドキドキしながらテレビで観戦した。(勝利して)本当にうれしい。一つ勝ち星を挙げ、大きな自信につながったと思う」と感激。「いつか陸前高田の子どもたちと交流するような機会があればいい」と願った。