地元の若い人材確保へ 大船渡職安で求人受け付けがスタート 来春の新規高卒者対象

▲ 来年3月の新規高卒予定者を対象とする求人受け付けがスタート

 令和4年3月の新規高校卒業予定者を対象とする事業所の求人受け付けは1日、全国の公共職業安定所で一斉にスタートした。深刻さを増す少子化や新型コロナウイルス感染症などの影響が及ぶ中、大船渡職安(中村剛裕所長)にも各事業所の担当者らが求人の手続きに訪れた。同職安によると、来春高卒予定者のうち、就職を希望する半数余りが管内を望んでいるといい、地元の若い人材確保への期待が高まっている。新規高卒予定者に対する求人公開は7月1日(木)からとなる。

 

半数余が管内就職希望

 

 新規高卒予定者に対する職安の求人受け付けは、平成29年から6月1日に始まっている。今年も同様の開始日となり、大船渡職安が初日に受け付けた求人数(午後4時現在)は25社31件65人。昨年の16社23件48人を9社8件17人上回る出だしとなった。
 この日、求人手続きを行った住田町世田米の社会福祉法人・鳴瀬会(櫻井末男理事長、従業員78人)は、運営する特別養護老人ホーム・すみた荘の介護員3人の採用を計画。鈴木玲施設長(64)が職安に足を運び、求人票を提出した。
 鳴瀬会は今春、平成29年以来となる高卒者1人を採用。全国的に介護人材の不足が叫ばれている中、同法人では休暇制度や研修の充実など、働きやすい環境づくりにも力を入れ、若い働き手の確保に努めている。
 鈴木施設長は「人材確保は運営の根本でもあるが、就職希望者が少なく、非常に厳しい。希望者の施設見学なども受け入れながら職場環境に理解を深めてもらい、1人でも多く若い人材を確保していきたい」と力を込めた。
 同職安によると、管内(気仙3市町)の今年3月新規高卒者445人のうち、116人(26・1%)が就職を希望し、4月末までに全員が内定を受けた。管内への就職は68人で地元定着率は58・6%、県内他地区への就職も含めると75・9%となり、地元志向の強さを裏付けた。
 4月23日現在の来年3月新規高卒予定者の求職動向結果をみると、卒業予定者438人中、就職希望者は94人となり、過去10年間で初めて3ケタを割った。卒業予定者に占める就職希望者の割合は21・5%と、前年度から4・8ポイント減少した。
 一方、都市部を中心に全国で新型ウイルスの感染が拡大している背景もあってか、就職希望者のうち管内を望んでいるのは50人と全体の53・2%に当たり、例年より多くなっている。
 中村所長は「管内での就職を希望する高卒予定者が多いこの機会に、事業継続のためにも1人でも多く地元の若い人材を確保してほしい。7月からは求人が公開されるため、できるだけ各事業所には今月末までに求人票を提出してもらいたい」と話している。
 新規高卒予定者の選考と採用内定は昨年、新型ウイルスの影響で1カ月遅れたが、今年は例年通り9月16日(木)からとなる。