中上団地の応急仮設住宅48戸払い下げへ 今月28日まで申請受け付け

▲ 払い下げとなる仮設住宅

 住田町は、東日本大震災を受けて下有住に整備した応急仮設住宅中上団地の48戸の払い下げを行う。同団地の入居者は昨年7月をもって全員が退去。戸建ての木造で、エアコンや風呂、キッチンなどの付帯備品も含み価格は1戸1万円。解体費などは自己負担となる。町内の自治公民館や公的団体、町内に住所がある個人、法人を優先するが、他市町からの応募も可能。今月14日(月)から同28日(月)まで申請を受け付ける。
 町は震災前から、地元の木材や技術を生かそうと災害時に使える木造仮設住宅を検討。平成23年3月11日に襲った未曾有の大津波によって気仙両市では多くの住宅が流され、沿岸部全体をがれきが覆った中、町は3日後に木造仮設住宅の建設を決断した。
 仮設住宅の建設地は、町営住宅の跡地、旧住田幼稚園の跡地、旧下有住小学校校庭の3カ所を選定。町営住宅の跡地には火石団地として13戸、旧住田幼稚園跡地には本町団地として17戸、旧下有住小学校校庭には中上団地として63戸の仮設住宅が、4月から5月にかけて完成。町が整備した仮設住宅は、従来のプレハブ工法の長屋タイプとは異なり、戸建ての木造タイプ。壁には断熱材を木材で挟み、気仙内陸部の厳しい寒さに応じた工夫を凝らす〝優しさ〟も込められ、プレハブとは異なる、さわやかなスギの香りとぬくもりを入居者に届けた。
 入居世帯はピーク時には91世帯だったが、発災から4年後の27年3月には43世帯と半数以下になった。その後は28年3月に33世帯、29年3月に24世帯、30年3月に19世帯、31年3月に16世帯と年々減少していき、昨年7月をもって全世帯が退去した。
 中上団地の48戸はすべて同じ構造で、1戸当たり床面積は29・81平方㍍(9坪)。カラマツ材の杭基礎で、土台や柱、床にはスギの板や集成材を用いている。
 払い下げは建物本体に加え、エアコンや風呂、便座、キッチン、太陽熱温水器、物置、ペレットストーブなど付帯備品を含む。マツ杭から上部が対象で、水道は止水栓からとなる。
 対象者は①町内の自治公民館、町内の公的または公共的団体②町内に住所を有する個人、法人または任意団体③それ以外の個人、法人または任意団体──となり、希望者多数の場合は①②③の順で優先し、審査と抽選で決める。
 価格は付帯備品含め一式1万円。備品のみ希望する場合は1個当たり2000円となる。町内の自治公民館、公的または公共的団体は無料。7月上旬に決定、不決定の通知を申請者全員に送付する。
 現状引き渡しとし、解体・取り外し、移設費、運搬費といった再利用経費は払い下げを受ける個人・団体が負担。決定から2週間以内に代金を納入し、9月30日までの撤去(移設)を求める。
 申請受け付けを前に、今月7日(月)と同14日の各日午前9時30分~11時30分まで現地で見学会を開く。見学会は申し込み不要。
 町では「できるだけ多くの方に再利用していただけたら」と呼びかけている。
 払い下げ申請書などは町ホームページ(https://www.town.sumita.iwate.jp/docs/2021053000029/)からもダウンロード可能。
 問い合わせは町総務課管財係(℡46・2112)へ。