県が2・3㌔の新トンネル計画 国道107号白石峠 交通の〝難所〟解消へ10年間で整備

国道107号白石峠での新トンネルなどの整備ルート(大規模公共事業事前評価調書などから作成)

11日から意見募集

 

 県は、国道107号の大船渡市〜住田町間に位置する白石峠区間で新トンネルの整備計画をまとめ、大規模公共事業事前評価に基づき11日(金)から意見募集を行う。白石峠は、沿岸と内陸をつなぐ重要なルートである半面、急勾配・急カーブ区間が多く、特に冬場は交通の難所であり続けてきた。計画延長は2・7㌔でトンネルは2・3㌔、住田町内には、橋梁も設ける。事業期間は令和4〜13年度。これまで、気仙3市町や関係団体が早期改良を訴えてきただけに、〝悲願成就〟へ大きな一歩を踏み出す内容となっている。

 県は「政策等の評価に関する条例」に基づき、5月に大規模事業評価を実施。県土整備部が所管する総事業費が50億円以上の公共事業などを対象としており、事業実施が妥当かどうかを判断する事前評価、再評価を行った。今回、事前評価として、白石峠の整備事業が盛り込まれた。
 国道107号は、大船渡市を起点とし、秋田県由利本荘市までをつなぐ。沿線地域住民の生活だけでなく、災害に強い道路ネットワークの構築、物流、救急医療などで欠かせない主要幹線道路であるほか、重要港湾である大船渡港と盛岡市や産業集積が進む県南地区を結ぶ物流路線の役割も担う。
 半面、白石峠区間は急勾配区間が連続し、線形不良箇所も多く、速度低下やスリップ事故が発生。区間内の白石トンネル(区間長808㍍)は幅員が狭く、入り口がカーブとなっており、大型車同士のすれ違いが困難など課題が山積していた。
 大規模事業の評価調書によると、計画延長は2・7㌔。このうちトンネルが2・3㌔で、住田町内には橋梁も設ける。事業期間は令和4年度からで、用地着手予定は5年度、工事着手は6年度、供用開始予定は13年度となっている。総事業費は94億円と試算する。
 現在の白石トンネル前後にある急勾配・急カーブを解消する形で、ほぼ直線で平たんな新トンネルの整備を描く。土地の大規模な改変は発生しない見込みだが、県では必要に応じて現地調査を行うほか、環境への影響が極力少なくなるよう配慮するなどとしたうえで「事業実施」と位置づけている。
 これまで気仙3市町と関係団体、事業者は、県に対して国道107号改良整備の早期事業化などを求める要望書を提出。白石峠での新たなトンネル建設などに向け、住民生活や産業活動での具体事例も交えながら必要性を訴えてきただけに、関係者は「大きな一歩」ととらえる。
 意見募集期間は、今月11日から7月12日(月)まで。資料は県ホームページに掲載しているほか、県庁行政情報センターや各地区合同庁舎行政情報サブセンターなどで閲覧できる。
 意見は郵便(〒020・8570県政策企画部政策企画課、住所記載不要)かファクス(019・629・6229)、電子メール(aa0010@pref.iwate.jp)で受け付ける。
 また、8日(火)午後1時30分から盛岡市内で開かれる県大規模事業評価専門委員会では、白石峠整備事業に関する諮問審議が予定されている。

国道107号白石峠での新トンネルなどの整備ルート(大規模公共事業事前評価調書などから作成)