種山高原 山開き シーズン中 の安全願う 好天のもとハイキングも(別写真あり)
令和3年6月8日付 1面
住田町や奥州市にまたがる種山高原の山開きは6日、同高原の物見山中腹にある種山高原キャンプ場で行われた。新型コロナウイルスの影響により、出席者は必要最低限の人数にするなど規模を縮小して実施。すっきりとした青空に恵まれた中、関係者がシーズン中の安全と新型ウイルスの早期収束を祈願した。
北上高地の南西部に位置する種山高原は物見山、大森山、立石などの総称で、東西11㌔、南北20㌔に及ぶ。緩やかな稜線(りょうせん)の準平原地形と冷涼な気候から、藩政時代は馬の放牧地として利用された。
宮沢賢治がこよなく愛したことでも知られ、風景や気象を題材に童話『風の又三郎』『種山ヶ原』などを残した。賢治作品の源泉となった岩手の自然景観「イーハトーブの風景地」の一つとして、物見山も国の史跡名勝天然記念物に指定されている。
山開きは、住田町と奥州市で構成する種山高原観光協会(会長・小沢昌記奥州市長)が主催。自然を生かした憩いの場、観光地が整備された種山の発信などを図ろうと毎年開催している。
好天に恵まれ、多くのキャンパーが訪れているキャンプ場での神事には、両市町の行政や観光、商工団体関係者ら約10人が出席し、シーズン中の無事故、新型ウイルスの収束を祈願。小沢会長は「今年も多くのキャンパーの皆さまに来ていただいている。安全で、種山に来てよかったと思ってもらえるようなおもてなしとバックアップをしていきたい」とあいさつした。
神事後、疫病退散祈願として奥州市江刺の郷土芸能「行山流角懸鹿躍」が披露されたほか、住田町の「すみた森の案内人」の案内でキャンプ場周辺をめぐる往復1時間ほどのハイキングも実施。参加者は、新緑が広がる高原にレンゲツツジの朱赤色が映える中、爽やかな空気を吸い込みながら初夏の種山の散策を満喫していた。