林業振興などで論戦 町議会6月定例会開会 一般質問に3議員登壇

▲ 初日は一般質問に3議員が登壇

 住田町議会6月定例会は8日に開会し、会期を11日(金)までの4日間と決め、荻原勝、阿部祐一、林﨑幸正(いずれも無所属)の3議員による一般質問が行われた。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中での林業振興や東日本大震災における町の後方支援の経験を生かした取り組みなどについて、当局と論戦を交わした。 

 コロナ禍における林業振興を取り上げたのは阿部、林﨑両議員。
 このうち阿部議員は、「素材丸太の需要が低迷していたが、外材の輸入が急激に減少しているために住宅用構造材の製品価格が2割も上昇している」とし、「町内の製材産業にも原木丸太が確保しにくいなど国産材需要増の影響が出ている。森林組合や素材生産業者がともに連携し、町内で生産される素材は町内に供給できる体制づくりが必要ではないか」と、当局の見解を尋ねた。
 神田謙一町長は「コロナ禍によりアメリカなどを中心に住宅建築の需要が高まるなどして、木材需要がひっ迫して価格が高騰する『ウッドショック』と呼ばれる動きが世界的に見られる。日本国内でも影響が出始めており、住宅メーカーの間で輸入材から国産材に切り替わる動きが広がり、国産材の価格も上昇して必要な木材を確保できないケースが出ている」と情勢に触れたうえで、「それぞれ、これまでの取引関係の諸事情等もあり、流通体系の急変は難しい面があるかもしれないが、連携については必要だととらえている」との認識を示した。
 林﨑議員は、「ウッドショックの波が日本にも押し寄せていると聞くが、本町の林業に及ぼす影響をどのようにとらえているか」と質問した。
 神田町長は「住宅資材等の木材製品の需要が高まっており、製材業において原木が品薄となって材料確保に支障をきたしているとの情報があるが、これら一連の動きが、長らく低迷が続く業界にとって立て直しのいい機会になるという見方もある。引き続き、市場動向等の情報収集をしながら、町の木材産業への影響について注視していきたい」と述べた。
 トップ登壇の荻原議員は、町が震災後に展開してきたさまざまな後方支援の経験を今後に生かしていくことが重要だとし、自然災害の被災地から「疎開」する場所を提供する「疎開保険」制度に取り組む自治体も出てきていると紹介。「住田町は被災地・被災者支援のノウハウや木造仮設住宅で全国的な知名度がある。その強みを生かしつつ田舎の良さを融合させた疎開待機自治体、疎開体験型リゾートのような取り組みをすべきではないか」と尋ねた。
 疎開保険は、年会費を払うことで災害が発生した際に被災地から疎開してきた場合に7日間の滞在、食事の提供などが受けられ、災害がない場合には特産品の受け取りがある制度で、鳥取県智頭町が取り組んでいる。
 神田町長は「本町では被災者支援のレガシーやシンボルとして、交流人口や移住を促進するため木造仮設住宅跡地に仮設住宅の展示を含めた『仕事・学びの場』も整備する」と、震災の経験を生かした取り組みの展開を示した。
 そのうえで、「智頭町の取り組みは参考となるものだが、本町としては被災者受け入れや支援のノウハウ、来町者へのもてなし、自然豊かな環境を生かしたサービスなどを『仕事・学びの場』において提供することで、コロナ禍で疲労した生活から離れ、癒しや楽しみを享受できる仕組みを検討し、来町者の増加や交流、地域おこしにつながる取り組みを進めていきたい」との考えを語った。
 今定例会の日程次の通り。
 ▽9日=本会議(一般質問)▽10日=休会▽11日=本会議(議案審議)