オリジナルビール販売開始 陸前高田マイクロブルワリー 初仕込みの2種類が好評

▲ オリジナルビールの販売をスタートさせた熊谷店主

 陸前高田市気仙町のビール醸造所「陸前高田マイクロブルワリー」(熊谷克郎店主)は、初めて仕込んだオリジナルクラフトビール「オーディナリービター」と「セッションIPA」の販売を開始し、好評を得ている。技術協力する米国・クレセントシティ市のビール製造会社・シークエーク社のレシピを使用した商品などの製造も始まっており、陸前高田発の地ビール定着に向けてチャレンジを続ける。

 

第3、4弾の製造も

 

 陸前高田マイクロブルワリーは、昨年12月に開業した気仙町今泉の商業施設「陸前高田発酵パーク・カモシー」内にオープン。今年4月上旬からオリジナルビールの仕込みが始まり、5月3日から「オーディナリービター」、同24日から「セッションIPA」の販売がそれぞれ始まった。
 オリジナル第1弾のオーディナリービターは、イギリスの伝統的なビール。麦芽の甘い香りや控えめな苦み、軽い飲み口が特徴。「日常的に飲めるビール」をコンセプトに、飲みやすさを重視した味わいに仕上げた。
 一方、第2弾のセッションIPAは、ホップの苦みや香りを強調したビールで、アルコール度数は4・9%と抑えめ。味の個性を楽しめる商品で、熊谷店主(40)は「ビールの苦みが好きな人はこっち」と勧める。
 各ビールは、税込みでMサイズ650円、Lサイズ900円。グラウラー(ビールを持ち運べる水筒)での量り売りも行っており、地元内外の客から好評を得ている。
 ビールを醸造するほかの樽(たる)では、第3、4弾のビールの仕込みも始まっている。
 このうち「ウエストコーストスタイルIPA」は、シークエーク社にレシピをリクエストして製造。米国西海岸の伝統的なビールで、「パイナップルのようなトロピカルな濃い味」に仕上げるという。
 また、「ストロベリーセゾン」は副原料に陸前高田産のイチゴを使用。地元産品を使ったビールでは初の試みで、苦みを抑えつつ、果実の甘く豊かな香りを楽しめる商品を目指す。
 米崎町出身の熊谷店主は、東京で勤めていた20代のころにクラフトビールに興味を持ち、東日本大震災後に東京からUターンしたあとも、地元の果物を使用したリンゴエール造りのプロジェクトに参加するなどビールについて勉強。陸前高田の姉妹都市・クレセントシティ市にある同社とビール造りに関する覚書も交わし、自身のビール工房開設を実現させた。
 開店から約半年。オリジナルビールの販売にこぎつけた熊谷店主は「ようやく始まった、という気持ち。すでに販売しているビールはありがたいことに評価が良く、土台ができたと思う」と語る。
 また、「地元の農家などいろいろな人たちと関わりながら新しいビールを造っていきたい。陸前高田の地ビールとして定着するよう、まずは地域の方々に好かれる商品を目指したい」と力を込める。